rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年2月10日 内閣党委員会全員会議拡大会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、「党の『地方発展20×10政策』を徹底して貫徹するための内閣全員会議拡大会議が9日に開催された」ことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。

 同記事が伝える同会議の概況は、次のとおりである。

  • 参加者:金徳訓総理、朴章根副総理・国家計画委員長、金明勲副総理、李英植内閣党委責任秘書をはじめとする内閣党委委員、候補委員。「関係幹部が傍聴」
  • 討議事項:「党中央が提示した地方工業発展の変革的な戦略を完璧に施行していくための対策(複数)」、「党の雄大な構想と意図を決死の実践で奉じていくための方途的問題(複数)」
  • 「報告」、「討論」(複数)を実施:報告者等には言及なし
  • 主な強調事項:①「地方発展20×10政策」に対する称賛(「約80年に至る我が党歴史に特記すべき画期的里程標」)、②幹部の取り組み姿勢(「人民に対する献身的無精神を帯びて、思想観点と執務姿勢において根本的な改善をもたらし、・・託された責務をまっとうしていくこと」)

 内閣党委員会全員会議拡大会議の開催は、1月8日から10日にかけて「第8期第9回全員会議の決定貫徹のため」に開催されたのに続くものである。同会議がこうして年初に続けて開催されるのは異例といえる。「地方発展20×10政策」が突然打ち出されたことによる一種の混乱ないしその収拾に努めている様が反映されたものといえよう。

 ただし、記事を見る限りでは、同政策実践のための「対策」「方途的問題」については、まったく具体的な言及がない。

 先般の金正恩の金化郡地方工業工場現地指導の際の「経済幹部」に対する批判を受けて「反省」姿勢を示すために急遽開催し、ひたすら同政策の正当性と党幹部の取り組み姿勢を強調して終わったのではないかとの印象を禁じ得ない。

 なお、今更であるが、その金化郡への現地指導に際し、党秘書複数が同行した一方、経済部門に関連する幹部が一人も同行しなかったのも不可解である。金正恩と「経済幹部」の間の何らかの「隙間」を感じるのは考え過ぎだろうか。