rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年1月30日 地方発展20×10非常設中央推進委員会の活動開始を報道

 

 本日の「労働新聞」は、「我が党地方工業発展政策の完璧な施行のための非常設中央推進委員会、事業に着手」と題し「(同)委員会が正式事業に着手した」(期日は記載なし)ことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。記事の報じる同委員会の概要は、次のとおりである。

  • 責任者:趙勇元組織秘書が「委員会事業を責任をもって指導している」
  • メンバー:朴章根副総理・国家計画委委員長、全現哲党秘書、李熙用組織指導部第1副部長をはじめとする「党中央委員会と省、中央機関の責任幹部(複数)」
  • 任務:「新たに建設される地方工業工場に対する設計、施工など工事推進状況と(そこで使用する)原料基地造成事業を統一的に掌握指導」(「建設力量編成と資材、設備保障」も)

 金正恩は、先の党政治局拡大会議での「結論」の中で、「今後組織される地方発展20×10非常設推進委員会」に言及し、そこに「党中央委員会の部署、国防省と当該の省、中央機関の幹部が網羅された」と述べていた。

 上掲記事をこの発言と比較すると、委員会の名称に「中央」が追加されている。これは、単なる名称変更かもしれないが、あるいは、各地方にも「○○道推進委員会」が組織されていることを示すものとも考えられる。また、構成メンバーに関しては、金正恩の「結論」で言及されていた「国防省」関係者への言及がないが、その理由は判然としない。

 いずれにせよ、金正恩としては、思い入れの強いこの政策の実現を最も信頼する趙勇元に託したということであろう(どこの組織でもよくありがちな現象)。趙勇元としては、専門外の経済活動まで担当させられて、誠に荷が重いと感じているのかもしれないが、金正恩の期待に応えない訳にもいかず、「顔で笑って心で泣いて」というところではないだろうか。