rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年1月19日 内閣全員会議拡大会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が1月18日、金徳訓総理の「指導」の下、「画像会議」形式で開催されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。

 同会議の骨子は、次のとおりである。

  • 参加者:金徳訓総理、朴章根・楊昇浩・李哲万副総理をはじめとする内閣メンバーが参加。内閣直属機関、省機関幹部と道、市、郡人民委員会委員長、農業指導機関、重要工場・企業所幹部が傍聴
  • 討議内容:党中央委第8期第9回全員会議で提示された綱領的課題を徹底して貫徹するための対策的問題(複数)
  • 議事進行状況
    • 「党中央委決定に立脚して作成した今年の人民経済発展計画を発表」(金徳訓総理)
    • 「討論」(複数、討論者氏名等不詳)
    • 総理指示:「すべての幹部が自らの部門、自らの単位に託された人民経済計画を成功裏に遂行することにより・・今年を新たな意義ある成果で輝かせる・・ことについて強調」
  • 決定事項:「より具体的で科学的な実践方途が明示された該当の決定」を採択

 以上の会議状況を昨年1月20日に開催された内閣全員会議拡大会議の状況と比較すると、ほぼ唯一の変化は、昨年は金徳訓総理の「報告」が行われたとし、「12個重要高地占領に力を集中」など、その内容をそれなりに具体的に紹介していたのに対し、今年は、同人が「今年の人民経済発展計画」を発表したとしつつも、その内容にはほとんど言及がないことである。なお、記事の分量も、今年は昨年の半分強程度になっている。

 今年の「人民経済発展計画」が18日の内閣全員会議において「発表」されるというのは、年末に中央委全員会議で今年の課題を決定し、それを受けての「計画」策定ということであれば、極めて迅速な対応なのかもしれないが、一方、年初からの取り組みという進展から見ると、遅いという印象も禁じ得ない。そういう意味では、そもそも年末に翌年の課題を設定するという方式自体が「計画経済」のシステムにそぐわないのではないかとも考えられる。

 更に言うと、金正恩が15日の最高人民会議で年末の中央委決定を覆す形で提唱した「地方発展20×10政策」は、この「計画」にどの程度反映できているのであろうか。仮に、今年の目玉ともいうべき同「政策」を反映できていないのであれば、早晩の大幅手直しを免れないのではないだろうか。そうだとすると、この会議自体、余り意味のないものになってしまう。今年の記事の分量が昨年に比して激減しているのは、あるいはそうした背景があるのかもしれない。考えすぎかもしれないが。