rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月29日 内閣全員会議拡大会議開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が1月28日、「画像会議」方式により開催されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。同記事による同会議の開催概況は次のとおりである。

 まず、参加者については、内閣総理金徳訓が「指導」したとされ、内閣メンバーのほか、内閣直属機関の幹部、道・市・郡の人民委員会委員長、農業指導機関(道農村経理委員会、郡協同農場経営委員会などであろう)、主要工場・企業幹部が傍聴したという。

 これは、昨年2月25日と10月26日に開催された内閣全員会議拡大会議と同様であり、「画像会議」方式の採用とともに定着した感がある。

 議題は、①「党中央委第8期第4回全員会議が提示した綱領的課題を徹底して貫徹するための対策」と②「経済管理方法を改善するための内閣の昨年事業状況」であり、それぞれに関する報告及び討論があったとされるが、報告者の氏名や個別の内容は明らかにされておらず、全般を概括する形での紹介にとどまっている。

 そのうち①に関連するとみられるものとしては、昨年の「主要政策目標を占領するための闘争で収めた成果が言及された」として農業。建設部門の事例が紹介されたのに続き、「今年の戦闘目標遂行において、内閣が経済司令部としての役割を一層高め」、「経済事業に対する国家の統一的指導を実現し、各経済部門の間の有機的連携と協同を強化し、全人民経済的範囲での経済効率性を高める方向で経済管理方法を不断に探求し改善していく」ことなどが伝えられているが、個別の産業部門に関する言及はほとんどみられない。結局、具体的な方法論は抜きにして、「綱領的課題を決死貫徹することで国家発展と人民生活で顕著な改変を成し遂げる」ことだけが強調されているといわざるをえない。

 また、②に関連すると見られるものとして、「国家経済の自立性と計画性、人民性を強化し、その発展を推動することのできる現実的な経済管理方案を提起し、実践に具現するための事業が推進された」との記述があるが、具体的な内容ないし方向性は明らかにされていない。ただ、前述の①に関する記述内容に加え、討論に関しても「経済事業で整然とした事業体系と規律を確立し・・」との記述があることなどを勘案すると、ここでいう「経済管方法理の改善」は、かつてのような市場経済要素を積極的に導入しようとする改革的なものではなく、むしろ、統制色を強める方向のものと考えられる。

 今次記事の特徴として、前述した昨年の2回の会議報道に比較して、概して具体性に乏しい印象を禁じ得ない。その理由に関心がもたれる。