rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年7月15日 内閣全員会議拡大会議を開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が14日、金徳訓総理の「指導」による「画像会議」形式で開催されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。その骨子は次のとおりである。

  • 参加者:朴正根、楊勝浩副総理をはじめとする内閣メンバー。内閣直属機関、省機関幹部、道、市、郡人民委員会委員長、農業指導機関、主要工場、企業所幹部が傍聴
  • 議題:上半年の人民経済計画遂行状況を総括、3・4分期の人民経済計画を無条件に遂行・・するための対策を討議
  • 報告(朴正根副総理・国家計画委委員長):①上半年総括:「科学技術を前進と発展の動力として生産活性化を推進し、経営活動の実利を保障」、「現われた欠陥と偏向、原因と教訓を分析」、「経済事業を予見性を持って作戦(段取り)し、周到精密に組織進行することについて指摘」、②今後の課題:「国の経済発展と人民生活向上のための闘争において一歩前進を成し遂げるための事業方向を提示」
  • 討論(参加者不詳):「最大に奮発し奮闘することにより・・戦闘目標を無条件に遂行する決意を表明」
  • 討議内容:①「現行生産と整備補強事業を同時に推進し下半年人民経済計画を完遂する問題」、②「経済管理体系と方法を現実的条件に合うようより改善し、国家の統一的な指揮体系を補強するための決定的な対策を立てる問題」
  • 決定採択:「該当する決定(複数)が全員一致で採択」

 今次会議に関する以上のような報道は、基調において従前の会議報道と軌を一にしたものといえるが、具体性が一層希薄化しており、どこに重点がおかれているのかほとんど推測しがたい内容となっている。

 そうした中で今次会議の特徴を強いて挙げれば、計画遂行における「無条件」が繰り返し強調されている点である。これは、先の中央委第8期第5回全員会議においても同様であった。逆読みすると、それだけ計画遂行を阻害する事由(原料、エネルギー不足など)が頻発している現状を反映しているとも考えられる。そういう中で何とか計画を完遂しようすれば、幹部の「奮発・奮闘」に期待するしか道がないのかもしれない。記事に具体性がないのは、そうした窮状の結果とも思える。

 なお、討議内容②の「国家の統一的な指揮体系を補強するための決定的な対策」というのも気になるが、これまでも同種の表現が示されながらも(公開された限りでは)見るべき改編措置が講じられることのないままうやむやになってしまった例が少なくないので、余り期待せずに見守ることとしたい。いずれにせよ、経済管理に関しては、「計画」強化(中央集権化)の方向性が維持されているのは間違いないであろう。