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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年10月3日 第1回道・市・郡人民委員長講習会の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記講習会が9月29日から10月2日までの間、「党中央委員会会議室」において開催されたことを報じる記事を掲載した。同講習会の概況は、次のとおりである。

  • 開催目的:「人民委員長が該当地域の自立的で多角的な発展を導いていく牽引機、人民生活に責任を負う戸主としての責任と役割を円満に遂行していくようにするため」
  • 参加者:道・市・郡人民委員長、道人民委員会行政局長、内閣事務局幹部
  • 主な内容:開講辞(趙勇元組織秘書)、「集中講義と実務学習」、「学習総括」、「映像写真文献学習」「映画、演劇観覧をはじめとした政治文化事業」など
  • 講義実施者:金徳訓総理、李日換・金在龍・呉守容党秘書、李熙容党第1副部長、金金鉄内閣事務長
  • 主な講義内容:①「(人民委員長が)重い使命と本分を自覚し事業気風と執務姿勢を根本的に改善すること」、②「党決定に対する徹底した執行気風を確立すること」、③「すべての市・郡を政治と経済、文化の各方面で我が国家特有の発展面貌と自地域の特色が濃縮された地方都市、文明的な地域として転変させること」、④「市・郡経済事業の展望的管理を実現する事業を強力に推進すること」、⑤「人民大衆第一主義を具現し人民のために献身的に服務する人民的事業方法と作風を発揮していくこと」、⑥「市・郡人民委員会の機能と役割を決定的に高めるための方途的問題」

 各級の人民委員会委員長を集めたこうした講習会が開催されるのは、はじめてのこととされる。その背景には、人民生活の向上を可視的な形で実現するため、それを直接に担当する行政・経済機関である市・郡人民委員会の首長である人民委員長の奮起を促そうとの狙いがあると思われる。

 ただし、今次講習会開催に至った直接的な契機は、去る6月に開催された党中央委第8期第8回全員会議において、「各級人民委員会幹部の役割を決定的に高めることについて」が議題とされたことにあると言える。この時の趙勇元秘書の報告内容が今次講習会の前述のような内容に反映されていることからも、それがうかがえる。また、同講習会が「党中央委員会会議室」で開催されたことも、それが党主導の下で開催されたことを示すものといえる。

 蛇足であるが、講習会に対す手金正恩の関与がなかったことには、「残念」の印象を禁じ得ない。せめて記念写真撮影とか書簡送付ぐらいがあってもよかったのではないだろうか。