rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年2月10日 「党中央幹部学校」とは?(11日加筆版)

 

 本日の「労働新聞」は、2月9日に「偉大な領導者金正日同志の不滅の革命業績を深く体得するための中央研究討論会」が開催されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載している。そこでの討論内容は、何ら新味のない主張であり、改めて紹介する意味もないと思うが、記事の中で一つ注目される点があった。

 それは、5人の講演者の中の1人として、「朝鮮労働党中央幹部学校校長白亨哲(音訳)」の名前が挙げられていたことである。この「党中央幹部学校」という名称は、管見の限りでは、(党創設期は除いて)初めて報じられるものではないだろうか。ちなみに、校長の「白亨哲」についても、聯合通信ホームページで人物検索したが前歴がなく、これまでには報じられたことのない人物のようである。しかし、他の講演者が、党中央委歴史研究所長、朝鮮労働党出版社社長兼責任主筆といった地位にあることを勘案すると、「党中央幹部学校」というのも相当権威のある学校でなければならない。

 これは、推測であるが、同校は、金日成高級党学校が改称されたものではないだろうか。かつて本ブログでも紹介したが、2020年2月29日に開催が報道された党政治局拡大会議において、「我が党骨幹育成の重任を担う党幹部養成基地において厳重な不正腐敗現象が発生した」ことが提起され、「不正腐敗現象を発露させた党幹部養成基地の党委員会を解散し、該当の処罰を適用することについての決定を採択した」ことがあった。この「党幹部養成基地」については、後日の韓国報道で金日成高級党学校であったとの情報が伝えられた。「我が党骨幹育成」という表現からも、そうとしか考えられない。その結果、そうした学校に「金日成」の名前を冠するのは恐れ多いということで、「中央幹部学校」といういわば味気ない名前に改称されたのではないかと考えた次第である。

以下11日加筆部分

 「白亨哲」について、ラヂオ・プレス発行の「組織別人名簿」(2021年版)で調べたところ、江原道党委員会の書記(在職確認時期:「2019・5」)として、その名前が掲載されていた。ただ、やや「軽量級」すぎる感もあり、同一人物であるかは判然としない。ちなみに、同書の党機関の部分には、相変わらず「金日成高級党学校」が残されており、校長以下の幹部若干名の氏名が掲載されているが、その中には「白亨哲」の名前はない。