rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年11月8日 政論「鍵となる初年度戦闘のゴールが遠くない、必勝の信念高く勇気百倍して前へ!」

 

 標記政論は、結論から言うと、11月3日付けの社説と同様、金正恩に対する忠誠、信頼を梃子として今年の課題達成に向け奮闘することを呼びかけるものである。政論の特性から社説に比して情緒的表現が多用されているが、いわんとするところは同じである。

 ただ、社説に続き、こうして政論まで掲載して同旨の訴えを展開しているということは、そのような訴えがそれだけ切実に必要な状況が存在するということをうかがわせることといえる。

 そうした意味で、政論のさわりに部分だけ紹介しておきたい。

 まず、題目にも示されているとおり、冒頭で「今年の締め切りまで今やほとんど残されていない」ことを繰り返し強調した上で、「勝利は望んだからと言って成就されるものではなく、首領に対する絶対的な忠誠心と決死の精神力を発揮するときにのみ成し遂げられる」として、「首領に対する絶対的な忠誠心は我が人民のすべての勝利と奇跡の源泉である」、「首領に対する忠誠心の熱度こそ試練を克服する精神力の高さである」ことなどを訴えている。

 また、その呼びかけの対象は、「鍵となる初年度戦闘の成敗は全面的に幹部に掛かっている」「奇跡が起きる所には常に党員がいる」などとして、まず、幹部及び党員を挙げ、次に「朝鮮労働党に無限に忠実な青年前衛」、そして「全国の勤労者」と続いている。「青年」を敢えて挙げているのはやや異例かもしれない。ちなみに、党員に対しては。「党中央の革命思想を信念化、体質化し、常に党の志と意志のとおりに呼吸し思考し、党決定貫徹において旗を持って進む隊伍の先駆者」になることを呼びかけている。ここで「党中央」「党」というのが金正恩を指すことは改めていうまでもないであろう。

 政論は、最後に「我が党と革命の偉大な首領であられる敬愛する金正恩同志の卓越した思想と領導」とそれを中心とした一心団結などを勝利の十分条件として強調している。

 繰り返しであるが、こうした宣伝が展開される背景として、金正恩に対する国内各層の信任がいかなる状況になっているのか、改めて関心がもたれる。