rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年11月7日 国土環境保護事業への取り組みを督励

 

 本日の「労働新聞」は、冒頭に「敬愛する金正恩同志の命題」として「国土環境保護事業は我が国家が中長期的な事業として取り組み強く推進していくべき重要な課題です」との言葉を標題とした評論を掲載したのをはじめとして、同事業への取り組みを督励する評論・記事などをいくつか掲載している。

 このうち、上記評論では、同事業について、「党の経済政策執行において第一に優先的な中心課題として押し立て、力を集中するべき事業」、「恒久的に取り組み、一貫して押し立てるべき中長期的な事業」であるなどとして、その重要性を強調している。

 また、「いかなる自然災害にもびくともせず、安全に」と題する評論は、「各地で江河川整理工事、道路技術改造など秋季国土管理総動員事業が力強く推進されている」が、「現在、一部単位においては、条件多発を先に立てて託された工事を質的に行うことに関心をはらわずにいる」との問題点を指摘した上で、「いかに江河川整理をたくさんしても、質がまともに保障されておらず洪水被害を防げないなら意味がない」と批判し、「市・郡において国土管理事業を決定的に改善するための科学的で現実的な計画を立て、そのとおりに執行していく」ことを訴えている。

 こうした一連の記事は、秋季国土管理総動員事業の時期にあたることから改めて河川整理(堤防整理、川底掘削など)をはじめとした国土管理保護事業への取り組みを督励するものであろう。もちろん、そうした作業は、昨年のような自然被害の発生を未然に防止する上で大いに意味のあることとは思うが、現在、経済各分野での本年度目標達成や人民生活必需品の増産などに四苦八苦している中で、更にこのような課題を強調することをどのように解釈するべきなのか判断に苦しむところである。

 指導部が国内にはその程度の余力がある(絞れば絞るほど成果は出てくる)と考えているのか、逆に経済部門での成果達成が困難とみて、それとは別に目に見える成果を作り出そうとしてこうした課題を敢えて強調しているのか、あるいは単に何も考えず恣意的に目標を乱発しているのか、慎重な見極めが必要であろう。