rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年11月7日 砲兵部隊の射撃競技を実施

 

 本日の「労働新聞」は、6日、朝鮮人民軍各級機械化部隊管下の砲兵区分隊による砲射撃競技が実施されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載している。

 同記事による競技の概要は次のとおりである。

〇 実施目的:党中央委が第1回軍政幹部講習会において提示した戦闘的方針を高く奉じ、機械化部隊の機動砲兵戦闘能力を高めるため実施された訓練状況を検閲評価し、全軍に競争的な訓練熱風をより強く吹かせる

〇 参加者:朴正天党常務委員・秘書が「指導」、林光日総参謀長(大将)及び連合部隊長(複数)が出迎え、参観

〇 競技方法:①抽選の方法で火力陣地の位置と射撃順序を定め、②連合部隊長に決戦進入する機械化部隊を砲兵火力で支援することについての戦術及び火力任務を下達し、③彼らが決心を採択し、区分隊砲射撃を直接指揮し目標を消滅する(との想定)で実施

〇 競技結果:第604軍部隊管下砲兵区分隊が1等、以下、2等から6等まで、第337軍部隊管下砲兵区分隊、第243軍部隊管下砲兵区分隊、第671軍部隊管下砲兵区分隊、第488軍部隊管下砲兵区分隊、第757軍部隊管下砲兵区分隊、の順。朴正天が「競技結果に大きな満足を表示」

 同報道に関し注目される点は、次のとおりである。

〇 朴正天が「指導」したとされること。こうした表現は先の鉄道ミサイル連隊の演習などに続くもので、同人の軍に対する指導的立場が更に顕著に示されたといえる。なお、第1回軍政幹部講習会とは、7月下旬に開催された軍指揮官・政治幹部講習会を指すものであろう。そこでの指示が党中央委によるものとされることから、それに基づき実施された訓練結果を「検閲評価」する今次競技会は、党秘書(朴正天)が「指導」することになると考えられる。それにしても、最近、金正恩がこうした軍事関連活動に余り参加しなくなっているのは何故であろうか。

〇 競技形式において、実戦的な状況を創出して、部隊の射撃能力だけでなく、指揮官の判断・指揮能力などが相当発揮(露呈)される方法が採用されていること。こうした競技は。指揮官にとっても、かなり厳しい評価の場になっているのではないだろうか。

〇 競技結果について、優秀部隊だけでなく、すべての部隊名を明らかにしたこと。番号だけの名称とは言え、韓国軍などは、それがどこの部隊かを知ることができるのではないだろうか。そうしたデメリットを承知の上で、こうした報道を行うのは、単に近年の「透明性」向上を受けた結果なのか、あるいは、軍内部の引き締めなど、特定の狙いに基づくものであろうか。