rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

10月14日 閲兵式関係補論

 

 10日実施の閲兵式に関連して気づきの点を2点ほど指摘しておきたい。

 まず、パレードのほぼ先頭に登場した党中央委員会護衛処縦隊を率いた한순철(韓順哲・音訳)上将の制服についてである。護衛局縦隊、護衛司令部縦隊を率いた指揮官はじめ他の将官級軍人がほぼすべて詰襟に前面2列ボタン(いわゆるダブル風)の制服を着用していたのに対し(国務委員会警衛局縦隊は指揮官以下、戦闘服のため例外)、彼は、詰襟に1列ボタンの制服を着用していた。

 このような制服を着用していた指揮官は、同パレードでは他に認められない。そして、この制服は、社会安全相(旧人民保安相)の着用する制服(詰襟・1列ボタン)に似ているように思われる。

 このことだけで断定するのは早計かもしれないが、「党中央委員会護衛処」というのは、もとは社会安全部系列の部隊を母体にしているのではないだろうか。少なくとも、一般の人民軍部隊はもとより護衛司令部とも異なる系統にあるように思われる。

 いずれにせよ、自らの親衛部隊を一般の軍部隊から独立させるだけでなく、それを更に4つの部隊に分割・並立させているところに、北朝鮮ないし金正恩の徹底した分割統治の手法が端的に示されていると考える。

 次は、金正日軍政大学についてである。本日の韓国・聯合通信の記事によると、同校の名前が公に報じられるのは初めてということで、これまで金日成軍事総合大学の中で行われていた高級将校養成コースを分離・独立させたのではないかと推測している。

 ここで注目を喚起したいのは、本ブログで既に記載したように同学校縦隊が陸軍・海軍・航空軍の制服を着用した者ほぼ同数ずつで編成されていたことである。これは、同校が3軍の幹部を共に学ばせていることを強く示唆するものであり、自衛隊で言えば、「統幕学校」に相当するのではないかと思われる。そして、高級幹部をそのような形で養成しているということは、要するに北朝鮮が3軍の統合運用を重視しているということを示しているのではないだろうか。

 ちなみに、数年前に金正恩指導下で実施された軍の演習でも軍種間の統合作戦能力に焦点があてられていたことがあったと記憶している。異軍種間の統合運用は軍事分野での国際的趨勢であるが、同学校の発足は、北朝鮮が、そのような流れを着実に捉えていることを改めて示すものといえよう。