rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年7月3日 「国務委員会演奏団公演開始」

 

 標記は、国務委員会演奏団の公演が7月2日から平壌市内の三池淵劇場で開始されたことを伝えるもの。

 同演奏団の公演は、金正恩が先の中央委員会第8期第3回全員会議終了後に会議参加者とともに観覧したとされるのもので、それをより多くの人々に観覧させようとするものであろう。ただし、開幕初日の公演の観客は一般市民ではなく、「平壌市内の創作家、芸術人たち」とされる。

 公演では、「特に創作されるや否や一時に全国人民の心をつかんだ『我が母』、『その情にしたがわん』の情に満ちた旋律は観覧者を深遠な音楽世界に導いた。我が人民が享受する尊厳と栄光、幸福がいかにもたらされるのかを魂で、無限の感情情緒で熱く刻み込んでくれ、偉大な党をこの世の最後まで変わりなく従い報じようとする人民の真情がそのまま流れあふれる時代の名曲は観覧者の心琴を鳴らした」とされる。

 これら2曲については、6月23日に「労働新聞」に大々的に掲載して以来、普及に努めているところであり、ある意味で同公演も、その一環といえるだろう。

 更に興味深いのは、まず、同公演が「党中央の細心の指導の下に立派に創作完成された」とされていることである。おそらく、金正恩が先般の観覧後に構成・演出などに関し、色々と指示をしたのであろう。

 次に、観客が芸術部門関係者であったことと関連して、「公演を見て、創作家、芸術人たちは、偉大な党、偉大な時代をいかなる革新的眼目と創造本態で奉じていくべきかを改めて深く痛感」し、「(同)公演の貴重な成果と経験を創作実践に徹底して具現し、我々の文学芸術を党政策化された文学芸術、人民の文学芸術、戦闘的な文学芸術へと発展させていく上で貢献する」との決意を固めたとされていることも注目される。

 こうした報道内容からは、既に定着段階に入った金正恩の「首領」化言説に伴う形で、同人に対する人民の思慕の情を一層喚起する「文学芸術」活動を活発化し、理論面・感情面の両面で金正恩の権威向上(あるいは求心力確保というべきかもしれないが)を図る狙いがうかがわれる。

 記事は、最後に「公演は継続される」としているが、2日目以降、どのような人々が公演を観覧するのかにも関心がもたれる。