rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年2月7日 論説「主体的力をより強化し社会主義建設の偉大な新勝利を促進しよう」

 

 今日は、昨日招集されたはずの最高人民会議の報道を期待していたのだが、なぜかそれに関する記事は一切なく、代わりに1面を埋めたのが標記の長文論説である。

 論説は、冒頭に「我が革命の特殊な環境と今日の複雑な世界情勢の中で共和国が自主権と尊厳を固守し真の繁栄を成し遂げるためには、確固たる自主的立場で自己の力を強化し自立的に発展していかなければなりません」との金正恩の言葉を掲げた上で、前段「1」の部分で「主体的力をより強化すること」の重要性の根拠について、後段「2」の部分でそのための課題を論じている。

 そのうち、「1」では、まず「主体的力を育て、それに基づいて社会主義偉業を前進させることは、昨日も今日も変わりない我々の革命戦略である」として抗日闘争以来の伝統を強調し、それに続けて、①「我が国家の尊厳と自主権をしっかりと固守するための確固たる担保である」こと、②「経済建設と人民生活向上において飛躍的で持続的な発展を成し遂げることができる近道である」こと、③「後代に永遠に尊厳高く幸福な生活を準備するための聖なる闘争である」ことなどを挙げている。なお、このうち①では、「自衛的国防力と自立的経済を土台をくまなく強化し、主体的文化芸術の全面的開花期を開く」べきことを挙げ、国防、経済と並んで文化分野の重要性を強調していることが注目される。

 また、「2」では、冒頭に「党と人民の一心団結」強化を掲げ、「総秘書同志の唯一的領導体系」確立や「官僚主義」排除などを訴えるとともに「科学技術発展を促進し、すべての事業に確固として先行させる」ことを求めている。そして、「今日、我々の自力更生大進軍を阻害している主たる障害物は、経済事業と国家管理に内在している無秩序と不合理、図式主義である」とした上で、「形式主義と要領主義、単位特殊化と本位主義」などの払拭を訴えている。このほか、「すべての道、市、郡が・・固有の特色を持った発展した地域となる」ことや「教育が頼もしく健全には発展し人材大軍を育成」することなども掲げられている。

 論説は、また、結論部分で、「自己の力に対する確信と不屈の意志の最高表現は正面突破戦である」として、久々に「正面突破戦」の表現を用いて、2019年末に打ち出されたその考え方がいまだ継承されている(更に言えば、それが今日の基本路線の「種子」となっている)ことを示している。

 なお、最高人民会議未報道の理由としては、とりあえず、①会議の開催自体が遅れている、②会議は開始されたが継続中であり報道は会議終了後になされる、の二つの可能性が考えられるが、個人のレベルでは、どちらとも言い難く、明日の報道を待つしかない。こういう時こそ、国情院の「実力発揮」のチャンスと思うのだが、それに関する報道は見当たらないようである。