rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年4月22日 各地青年の困難地区への「進出」を称揚

 

 本日の「労働新聞」は、「青年たちよ、党の呼びかけに心臓で答える偉勲創造の旗手となれ」との共通題目の下、標記に関する様々な記事を掲載している。

 その冒頭に掲載された「青春の生をいかに輝かしていくか」と題する評論は、「去る3月、南浦市内の140余名の青年が・・・農村に初進出したことに続いて、全国の多数の青年が党の招く困難で大変な哨所へと先を争って駆けつけている」ことをとりあげ、「社会主義建設の主要戦区へと全国的範囲で同時多発的に継続される青年たちの嘆願熱気」について、「崇高な集団主義精神と革命的同志愛、高尚な道徳風貌を帯びた純潔で健全な青年たちが社会の活力ある部隊として奮い立っている」と形容するなど、口を極めて称揚している。

 評論は、その上で、そうした進出者をはじめとする青年に対して、「党にしたがって真っすぐに進む道、まさにその道に我が青春の価値ある栄誉、矜持高い生がある」として、党への忠誠、献身をひたすら実践するよう呼びかけている。

 また、金日成金正日主義青年同盟中央委員会副委員長による「党の忠実な交代者、後備隊に」と題する投稿文は、「(青年同盟が)嘆願者を広く紹介宣伝するための事業を意義深く組織し、すべての青年たちが彼らの模範を見本として、偉勲創造、肯定(的模範)創造、文明創造の旗手、美徳と部風の先駆者として準備していくように力強く推動する」との決意を披歴している。

 このほか、「重要戦区に駆けつけた進出者の闘争ニュース」では、各部門への進出者の活動状況などを具体的に紹介している。

 こうした各地青年の「進出」動をめぐる報道については、本ブログでもこれまで何回か紹介してきたが、その狙いについては、明確な答えを示すことができていなかった。上記記事などを踏まえた現時点での暫定的結論としては、こうした動向は、先の党大会で青年対策強化の必要性が強調されたことを受けて、青年層に対する思想的感化のための「模範」の提示を狙いとして開始されたキャンペーンであり、同大会で党中央委の宣伝扇動部長から勤労団体部長に横滑りした李日換(政治局委員・党秘書)の指導の下、青年同盟が実行役となって推進しているものと考える。農村や重要工場への若年労働力の供給という経済的側面からの狙いもある程度は含まれているかもしれないが、それらは副次的なものに過ぎないであろう。これまで報じられた進出者の数(「1,600余人」。4月13日付け本ブログ参照)は、経済的効果を期待するにはあまりにも少ないが、思想教化の「模範」としては、十分といえよう。

 こうしたキャンペーンの展開は、青年対策がそれだけ重要な課題として認識されていることの反映といえよう。そうした意味からも、来週開催予定となっている青年同盟大会の開催状況が注目される。