rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

1月29日 「総突撃戦に大衆を力強く鼓舞推動 慈江道党委員会において」

 

 本日の社説は、「幹部は正面突破戦において革命の指揮メンバーとしての責任と役割をまっとうしていこう」と題するものであったが、その方法論については、余り具体的な言及はなかった。

 標記記事は、まさにその在り方を実例に基づいて紹介したものである。

 同記事によると、慈江道党委員会における正面突破戦への取り組みは、まずその趣旨の周知徹底を図るための「学習熱風を起こす」ことを先行させ、ついで道内の各機関・企業所などにおける具体的取り組みを指導・推進する「組織政治事業」の形で進められるとみられる。

 道党委員会内の各部門の動きを個別的に見ると、まず「道党責任幹部たち」は、道内の主要建設現場と企業所、農村に出かけ、講演会、解説談話など様々な形式と方法で我が党の正面突破戦思想を深く解説宣伝」した。

 また、宣伝扇動部主導による「思想教養事業」として、「出版報道物配布事業を機動的に組織」したことをはじめ、「市、郡、企業所党組織において機動芸術扇動隊活動と速報発刊事業など」を行ったこと、「道革命事績館、道芸術団、道芸術宣伝隊、道作家同盟委員会、道・市・郡階級教養館幹部、芸術人、創作家、講師たちが重要工場、企業所、農村に出向き、経済扇動と現地創作活動、移動講義」を行ったこと、などがあげられている。

 概ね以上が正面突破戦の趣旨の周知徹底のための活動であろう。次に「組織政治事業」としては、「(各経済単位などの)現地に出向いた幹部達」が「受け持った単位に内在している不足点を深刻に分析総括し、それを克服するための方途を討議し、下部単位幹部が党政策貫徹において形式主義と格好つけを徹底して排撃し、自分の単位の発展戦略を正しく立てることに基づき、実情に合わせ予備を探し出し、より多く増産するための競争熱風を起こすよう後押し」する形で進められている。

 また、科学技術部門で「主要生産単位において、技術改造の主たる目標を電力消費を減らすことに置き、技術革新運動を活発に展開」させることや、農業分野で「党において準備してくれた畜産基地を現代化、活性化し自分の地方の特性に合わせて農産と畜産を発展させるための政策的指導を強化」するなど、特定部門に対する政策的指導も行っているという。

 以上の取組み全体を概観して、より実効性がありそうなのは、後者の「組織政治事業」であろう。前者は、後者に基づく新たな方針の取組みに際しての機運盛り上げための雰囲気造りにとどまるもので、それも場合によっては、「笛吹けど踊らず」になるおそれもあるのではないだろうか。

 ただ、その後者についても、以上の記述を見る限り、全体としては、問題点の再見直し、それに基づく新たな取組方針の策定と、その実践のための「競争」活動といったところで、それほど新味があるわけでもない。強いて言えば、科学技術関係で「電力節約」を、農業関係で「畜産」をそれぞれ重点として設定しているところに道党委員会の主導性発揮がうかがわれる程度である。

 「形式主義克服」とは言っても、実際のところは、そのための活動自体がまた形式主義的ないし見せかけ的なものになってしまっているような印象を拭えない。