rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

3月27日 「白頭の吹雪の中にうねる革命伝統継承の滔々たる大河」

 

 標記記事は、昨年12月10日の全国党宣伝イルクンを皮切りに開始された白頭山地区革命戦跡地踏査行軍隊の活動に、その後3月25日までで、「中央と地方の党、政権機関、勤労団体、省、中央機関、武力機関幹部たち、各地機関、工場、企業所、農場、学校などの幹部と勤労者、青少年学生たちと人民軍将兵たちを集めた830余個の踏査行軍隊」が参加したことを明らかにした。

 ただし、参加者数については、総数への言及はなく、以前報道された「12月だけでも130余団体、9,000余名」という数字を繰り返しているだけである。ちなみに、3月16日付けの社説では12月から2月までで「5万名」としていたが、本記事では、その数字への言及はない。

 いずれにせよ、標記記事(朝鮮中央通信によるもの)が3月25日までで集計した数字を出したこと、内容がその間の主な参加団体の動向を概説し踏査行軍活動の成果を総括するものであったこと、などを勘案すると、今期の「冬季踏査行軍」活動は、一応幕を下ろしたと考えてよいのかもしれない。

 今期の活動を振り返ると、やはり2月に入って以降、コロナウイルスの影響を受けてか、完全に休止状態になったわけではないが、当初の勢いは衰えはじめ、とりわけ3月に入ってからは、関連報道も減少した印象がある。総参加者数の報道がないのは、2月に報道した「5万名」に到達した後、余り増加がなかったためではないだろうか。

 仮に今期の参加者を6万人前後とすると、人口を約2,500万とすると、400人余に1人という計算になる。主要機関の幹部・勤務員などだけをみれば、もう少し高い比率になろうが、それでも、100人とか数十人に1人程度であろう。彼ら・彼女らは、それぞれの所属単位で、もともと模範的とみなされていたからこそ、当該単位のいわば代表として選抜されたのであろうが、今回の踏査行軍参加という経験・経歴を経ることによって、そういった地位・評価を更に高めることになり、いわば、各単位の「核心」として遇されることになると考えられる。同時に彼らは、同じ踏査行軍隊への参加者同士で、いわば「同じ釜の飯を食った戦友」的な関係を構築できたであろう。おそらく、それは、彼らにとって、今後の活動において非常に価値ある財産となろう。

 そういた意味で、この踏査行軍活動というのは、体制の新たな核心層を形成する意義を持つものと考えられる。