rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

11月30日 党中央委第7期第21回政治局拡大会議を開催

 

 標記会議が29日に開催されたことが報じられた。金正恩については、会議に「参加」し、「政治局の委任により会議を司会」したと前回会議と同じ表現が用いられた。

 報じられた議題は3件である。

 第1は、第8回党大会の「準備状況を聴取し、該当の対策を立てる問題」で、会議を「党大会準備委員会メンバー」が傍聴したのもこのためであろう。「大会準備事業」の具体的な内容としては、「各級党組織の指導機関事業総括と選挙、党大会に送る代表者選挙のための党会議進行状況と党大会文献準備状況、党大会を前後して行われる文化行事準備状況」などがあげられている。会議では、それについての「報告を聴取」した上で、「現れた一連の偏向と大会準備委員会の重要任務を指摘し、大会準備委員会が提起した問題に該当する方向を提示した」とされる。

 党大会の開催に先立っては、記事にあるように代議員を選出するため、道レベルの「党代表会」を開催する必要があり、更にそれに向けては、末端の細胞組織から始まって上級組織への代表を選出するプロセスが必要となる。記事の表現からすると、そのプロセスが既に開始されているようにも読める。そこから推測すると、党大会の開催は1月の早い時期が想定されているのではないだろうか。

 第2の議題は、「党思想事業部門を強化し、対象機関(複数)に党の領導体系をより徹底して立て、政策的指導と党的指導を深化させるため党中央委員会の該当部署機構を改編する問題」とされ、会議では、「組織機構的問題を承認した」とされる。

 党中央委員会で「思想事業」を担当するのは宣伝扇動部であるので、この議題は、具体的には同部の機構改編を意味するものと考えられる。ただ、記事を読む限りでは、「思想事業」をどのような方向に進めようとしているのかは推測しがたく、今後の推移が注目される。

 第3の議題は、「経済事業に対する党的指導を改善し、当面する経済課題執行のための重要問題」とされ、「経済指導機関(複数)が担当する部門に対する指導を主客観的環境と条件に合うよう科学的に行えておらず、主観主義と形式主義を克服できていない実態について深刻に批判」した上で、「党の経済政策執行のための作戦と指揮において科学性を徹底して保障し、無限の献身性と責任性を発揮」することを強調したとされる。そして、「今年の経済課題執行のための重要な問題に対する対策を討議し、重要決定を全員一致で採択した」という。

 ここで批判対象となっている「経済指導機関」とは、複数形であることから、内閣全体というよりは(以前には批判対象として「内閣」が名指しされたことある)、いくつかの省などではないかと思われる。また、批判されている傾向は、「科学性」が問題になっていることから、経済合理性を欠いた過大ないし一律的な課題設定などではないかと推測される。去る11月25日付けの論説が「科学的打算に基づいた作戦と指揮」の重要性を強調しており(同日付け本ブログ参照)、この議題設定と一脈通じているように思える。

 いずれにせよ明日から12月、今年も残すところ1月、「80日戦闘」でいえば残り30日となる。明日の「労働新聞」は、今次会議の結果を踏まえ、改めて総奮起を訴える内容となるのではないだろうか。