rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月1日 社説「党組織は、強力な思想攻勢で今日の総進軍を力強く推動しよう」

 

 標記社説は、昨日の本ブログで予測したとおり29日の政治局拡大会議決定を受け、「80日戦闘」加速化のための「思想攻勢」強化を訴えるもので、「党中央委員会第7期第21回政治局拡大会議決定を徹底して貫徹しよう」との共通題目の下、掲載されている。

 社説は、まず、「党事業の中核中の核は思想事業である」とした上で、「80日戦闘」展開の狙いについて、「膨大で緊迫した目標を成果裡に占領しようということにあるが、重要なことは、我が人民をいかなる難関にも屈しない真の革命家としてよりしっかりと準備させるためである」と説明し、「80日戦闘を名実ともに思想動員戦に志向させ、すべての人々を党中央と志を一にする熱血の忠臣、自分の力を固く信じる自力更生の強者として育て、すべての単位を団結し前進する愛国集団とするとき、これは、いかなる経済建設成果にも比べられない貴重な勝利とな(る)」と主張している。

 そして当面の思想事業における中心的な課題として、次の4点をあげている。第一は、「党員と勤労者の中に我が首領、我が党、我が国家が第一であるとの矜持と自負心を深く植え付ける」ことである。第二は、「すべての人民が1950年代の祖国守護精神で生き、闘争していくようにする」ことである。これに関しては、現在の「挑戦と難関」は、「3年間の祖国解放戦争に比べれば何でもない」とまで言っている。第三は、「すべての部門、すべての単位で学習気風をより徹底して立てる」ことである。第四は、「幹部と党員が先鋒的役割を円満に遂行する」ことである。これに関しては、「すべての党員が首都党員師団戦闘員たちの闘争精神と闘争気風を学ぶ」ことを求めている。

 この社説で最も注目されるのは、「80日戦闘」の主たる狙いが経済的成果達成よりも人民の思想教化にあることを端的に物語っていることである。以前の本ブログでも指摘したことだが、「何を成し遂げた」ということを誇れなくなった現状を踏まえて、評価の基準を「(皆で)いかに頑張ったか」に切り替えたことを意味しているのではないだろうか。

 そうは言っても、「祖国解放戦争」との比較まで持ち出すのはいかがなものかと感じざるを得ない。現状がそれほど酷い状況なのかと思ってしまう。おそらく、それほどでもないのであろうが、宣伝部門の習性で少しでも強い表現を使ってしまうのであろうが、思想事業強化が叫ばれている中で力が入り過ぎたのではないだろうか。

 なお、前述の共通題目の下では、社説の外に「電力増産の火の手高く継続革新」(「11月の1月間で電力工業省的に数千万kwhの電力を増産」)、「百数十個単位年間計画完遂、鉄道運輸部門において」(「百数十個の駅、機関車隊、客貨車隊において年間計画を超過遂行」)、「石炭工業部門で数万トンの石炭をより生産」(「石炭工業部門の各地炭鉱においては・・・11月29日までに高く立てた戦闘目標より数千トンの石炭を増産」)などの記事が掲載されている。

 これら記事の言う「増産」というのが何を基準にしているのかよく分からないが、目標数値ということであれば、いずれも計画を超過達成しているということになるが、あるいは昨年同期との比較かもしれず、これらの記事だけから計画の進捗状況は推測しがたい。