rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年10月2日 社説「我が国家特有の政治思想的威力を高く発揚させていこう」

 

 標記社説は、「我が共和国の歴史は、首領と人民の思想意志的、道徳義理的団結によって、度重なる試練を打開し前進してきた百勝の歴史である」とした上で、そうした「政治思想的威力」の発揮を訴えるものである。

 そのための課題として挙げるのは、第1に、「敬愛する金正恩同志の周囲に固く結集した一心団結の威力をくまなく強化していく」ことである。ここでは、「自らの哨所(持ち場)を党中央の前庭につながる革命哨所とみなし、総秘書同志の愛国献身の歩みに前進の歩幅を合わせていく」ことや「革命隊伍の政治思想的純潔性を変わりなく保障し、一心団結を崩す些細な要素も絶対に許容せず非妥協的に闘争」することなども求められている。

 第2は、「すべての幹部と党員と勤労者が共和国の富強発展のため愛国の汗と熱情をすべて捧げるとの透徹した思想的覚悟を持つ」ことである。そのため、「すべての人民は国家の強大さは、自らの心魂を込めた事業成果と創造物によって裏付けられるということを肝に銘じ、勤勉な労働と革新的偉勲で祖国を奉じる愛国者」になること、そして「家庭のことより国のことをまず考え、国家の重荷を一つでも減らすため奮闘する」ことを求めている。

 第3は、「前世代の闘争精神と気風に従い学び、集団主義的人生観を体質化した美徳、美風の所有者となる」ことである。そのために、「社会と集団のために献身し、国の富強繁栄のため身を捧げることに生の矜持と生きがいを求める高潔な人生観」を持つことを求めている。

 こうして見ると、社説が手を変え品を変え、美辞麗句を連ねて求めていることは、結局のところ、各自が日々の仕事を誠実・勤勉に行いなさい、ということに尽きるように思われる。幹部から党員、勤労者に至るまで、それを行わず、むしろそれぞれの立場を利用して、私利私欲のための活動にいそしんでいるのが実情なのであろう。それが現下の最大の問題なのであろうが、そうした人々に対して、こうしたイデオロギー的な主張が果たしてどれだけ響くのか、甚だ疑問である。