rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

6月22日 社説「増産節約運動を全群衆的に力強く展開しよう」

 

 標記社説は、内容的に特段新味のあるものではないが、昨日の本ブログでも指摘したように、最近の「労働新聞」紙面が決して対韓非難一色ではないことを示すため、こういったテーマが社説となっていることを紹介するものである。

 社説は、「増産節約運動」の強力な展開のための方策として、次の4点を強調する。第一は、「増産節約が祖国の隆盛発展のための事業であると同時に我々自身の幸福のための事業であるということをはっきりと銘記」させることである。人々の愛国心を刺激すると同時に、自らの生活向上にも資するものと認識させることによって、「国の主人、社会主義強国建設の直接的担当者であるとの確固とした観点」を抱かせることがまず重要と考えているのであろう。

 第二は、「生産物と建設の質を高める」ことである。「生産と建設で質を保障できないと、再生産、再施工を免れず、これは労力と資材、資金の浪費を招来する」ことになるからである。

 第三は、「技術革新」である。それを通じて、「生産と建設において最適化、最良化を実現し、労力と原価を最大限節約するため粘り強く思索し、努力する」ことを求めている。

 第四は、「党組織の役割を高める」ことである。ここで、党組織に求められるのが「政治思想事業を進攻的に展開し、党員と勤労者が高い忠誠心と愛国心を持って増産節約運動に自覚的に参加するように」することであるのは当然と言えるが、あわせて「労力と設備、資材利用に対する統制を強化し、浪費現象との闘争を強度を高めて展開」することが求められているのが注目される。その背景には、生産現場における不正腐敗の蔓延などが存在するのではないだろうか。

 全体を通じて、「増産節約」と言いながらも、力点は「節約」に置かれているように見受けられる。それが強調される背景には、一般に指摘される「制裁」「コロナによる貿易途絶」などの、いわば外来的要因のみならず、勤労者らの無責任・放漫な作業姿勢や「量」重視の風潮、さらには不正腐敗(おそらく物資の横流しなど)などの、いわば内在的要因が作用していると考えられる。そして、北朝鮮指導部の認識においては、後者が十分に改善できれば、前者は克服可能とみなされているのであろう。