rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

6月23日 対韓関連記事まとめ

 

 標記については、まず国内各界の「反響」についての3件の記事がある。「6月22日に」と題する記事は、対南ビラ散布準備の完成を報じた同日付け「労働新聞」を読んだ読者多数が同社あてに「興奮した心情」を電話してきたとして、その声を紹介したもの。「前沿に馳せる心」と題する記事は、交通部門従事者らの「私は、今、対敵ビラ散布闘争に奮い立った青年大学生を乗せて前沿地帯へとひたすら馳せる心情です」などとの声を紹介している。「まったく同じ主題の絵」は、ある初等中学校(中学)の美術クラブの活動で教師が好きな絵を描くよう指示したところ、結果は、「描かれた対象と環境は互いに異なるが、まったく同じ主題の絵であった。憤怒、復讐、まさにそれであった」とする記事である。いずれも、ほとんど随筆に近い書きぶりである。

 「北南関係破壊者の図々しい醜態」と題する情勢論解説は、韓国統一部が北朝鮮のビラ散布計画について「北南合意に対する明白な違反である」と批判していることや与党関係者が「名分も実利もすべて失う行い」であるとして「理性的な対応」を求めていることなどを紹介した上で、「これこそまさに盗賊が笞を持つ(盗人猛々しい)鉄面皮な盲動」ときめつけ反論するものである。ここでも結論は、「南朝鮮当局者どもは、自らも一度、(嫌な経験を)受けてみてこそ、どれだけ気分が悪いかをそのとおりに知ることができるはずだ」としている。

 国外での動きについては、「朝鮮の断固たる決断、応当な懲罰措置 国際社会で高潮する連帯性の声」と題する記事が、主に各国の北朝鮮との親善友好団体による北朝鮮支持の声明発表などを伝えている。

 以上のように本日の関連報道は、昨日までに比すると、やや下火な印象で、「対敵ビラ散布闘争」の本番待ちの状態にあるとも考えられる。

 その「対敵ビラ散布闘争」については、実行は既定路線と見られるが、「一度味わえば・・」と繰り返しているところからすると、ひとしきり展開した上で、韓国側の対応にもよるが、矛を収める可能性もあるのではないだろうか。

 非武装地帯付近での軍の動きについても、これまでの発表などによれば、慎重に統制しつつ、開城・金剛山地区への再配備のほかは、2018年9月の「南北軍事合意」以前の状態に戻すところで留めると思われる。それは、いわば最近までの「新常態」から、「旧常態」に復する動きであり、過去何十年かの歴史を考えれば、それはそれで安定しているとも言えよう。直ちに「戦争一歩手前」などと慌てる必要はないと考える。以前にも指摘したが、これほど緊張を高めてしまえば、奇襲的な攻撃などは困難になってしまう。今、北朝鮮が不用意に手出しすれば、むしろ、警戒を強めている(手ぐすね引いて待っている?)韓国軍からの手痛い反撃を受ける恐れが高いことは、十分承知しているであろう。