rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年8月13日 コロナ収束宣言に伴い防疫体制を調整

 

 本日の「労働新聞」は、10日の全国非常防疫総括会議における金正恩演説を受ける形で、「最大非常防疫体系が解除されたのに即して防疫措置を調整、緊張強化された正常防疫体系が稼働」と題する朝鮮中央通信の記事を掲載、新たな防疫態勢を具体的に紹介した。

 同記事による、主な緩和措置は、次のとおりである。

  • 「国のすべての地域が防疫安全地帯へと確固として転換され、国家的な防疫等級が下向調整されたことに即し、前沿(韓国との境界)と国境地域の市、郡を除いたすべての地域において、マスク着用義務化措置が解除された」
  • 「国家的な踏査と参観、休養と療養、観光などが正常化され、前沿と国境地域の市、郡を除いたすべての地域において、防疫学的距離置き、商業・給養及び便宜奉仕(サービス)施設の運用時間制限措置などが解除された」

 同記事は、一方で、「世界的な保健危機状況を緊張して鋭意注視しつつ、防疫障壁をより鉄桶のごとく固めるための諸般の努力が増大している」として、「国境と前沿、海岸と海上をはじめとして、悪性ウイルスの流入空間となりうる危険地域における防疫状況管理」などが実施されており、「特に輸入物資取扱い場所など防疫学的危険性が内在している地域と場所においてマスク着用の義務化と消毒をはじめとした防疫措置が一貫して維持されている」として、引き続きの防疫態勢に遺漏がないことも強調している。

 また、本日の「労働新聞」は、「史上最悪の危機に打ち勝った不屈の精神力により我々式社会主義の全面的発展を加速化していこう」と題する社説を掲載している。

 同社説は、前段で、「敬愛する総秘書同志の構想と決心は科学であり勝利であり、総秘書同志がやれとおっしゃるとおりにさえすれば、万事がすべてうまくいくというのが防疫大戦を通じて我々皆が改めて心臓深く刻んだ哲理である」と主張して、「党中央の賢明な領導の下で突発的な悪性伝染病事態を最短期間内に平定した勝利を新たな闘争力と奮発力として昇華させ、我々式社会主義の全面的発展を加速化」することを訴えた上で、後段では、「防疫事業では些細な放心と弛緩も許容せず、高度の緊張性を堅持するべきというのが保健危機を経て得た重要な教訓である」として、「国境と前沿、海岸を鉄桶のように封鎖」することや「国の防疫能力、危機対応能力建設に拍車を掛け」ることなどを訴えている。

 こうした社説の主張は、「コロナ収束」状況における北朝鮮の当面の対応姿勢を端的に示したものといえよう。