rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月31日 社説「最大非常体系の要求に合わせ思考と行動の一致性をより徹底して保障しよう」

 

 標記社説は、昨日紹介した論説と同様、コロナ対策の徹底を求めたもの。まず、「皆が党と危機意識を共にし、歩調を揃えなければならない」とした上で、「各級非常防疫指揮部の責任性と役割を最大限に高める」「すべての人民が非常防疫規律を自覚的に徹底して守る」(非常防疫事業において特殊ということは絶対にありえないことを銘記させる)「非常拡大会議の決定を完璧に執行するための社会的雰囲気をより高潮させる」(宣伝扇動手段を総動員してすべての公民に醸成された事態の危険性を深く認識させる)「党及び勤労団体組織において・・会議の決定を貫徹するための事業を最優先して徹底して執行する」ことなどを求めている。

 同日にはまた、この社説を敷衍するかのように、「全国家的に防疫危機を克服するための事業をより強度を高めて展開しよう」との共通題目の下、①「事態の厳重性を認識し覚醒奮発するように 各地党及び勤労団体組織において」、②「特級警報が発令されたことに合うように 各級非常防疫指揮部において」、③「防疫封鎖陣を鉄壁に」などと題する記事が掲載されている。

 このうち、②では、各地非常防疫指揮部の活動について、一般論としては熱心な取り組みがなされているとしつつ、「この反面、一部非常防疫指揮部にあっては、いまだに精神を整えることができず、非正常的な現象を発露させている」と指摘し、その具体例として、「ある道非常防疫指揮部では医療従事者を病院改造工事に動員することにより、住民世帯に対する検診事業が極めて形式的に行われることになった」などの現象を批判し、このような取組み姿勢の改善を強く求めている。

 また、③でも、「防疫最前線を頼もしく守護する上で提起される重要な問題の一つは検査検疫員が醸成された事態の深刻性をはっきりと認識し、最大に覚醒奮発すること」としつつ、「中央非常防疫指揮部のある幹部」の発言として、「いかに強度の高い物理的措置を取ったとしても、封鎖陣の第一線を守る検査検疫員の精神に空洞が生じれば、鉄壁に固めた封鎖陣に隙間ができることになる」「彼らに対する教養と統制、生活保障事業をより組織し我々の封鎖鉄壁に針の一穴も生じないようにしなければならない」との主張を紹介している。

 以上のような報道内容は、北朝鮮の防疫活動が指揮部から現場の第一線に至る各層において、緊張感を欠き形式化した姿勢が蔓延していることをうかがわせるものと言えよう。昨日の本ブログでも指摘ばかりであるが、やはり、そのような事情が今次非常拡大会議の開催、「特級警報」発令などの背景として強く作用していると考えざるを得ない。韓国からの「不法帰郷者」の摘発は、その引締めのための格好の契機を提供するものであったと思われる。