4月17日 社説「党政治局会議において採択された共同決定書を徹底して貫徹しよう」
標記は、4月11日の党政治局会議開催後、同会議とりわけコロナ対策に関する「共同決定書」採択の意義について論じた、初めての「労働新聞」社説であり、経済建設とコロナ対策の関係についての姿勢が明確に示されている。
社説は、まず、「今、我が人民は正面突破戦の初年度に迎える党創建75周年をはっきりとした経済建設成果と誇らしい労力的偉勲で輝かそうとの一念を抱いて自力富強、自力繁栄の前進活路を力強く切り開いている」と従前の方針を述べた上で、コロナ対策をそれに優先させたことを次のとおり明らかにしている。
「我が党において、人民の生命安全よりもっと貴重なものはない。社会主義建設において世紀を驚かす奇跡的成果を達成したとしても、人民の生命安全に少しでも害を及ぼし人民の幸福な生活に陰を落とすのであれば、それは勝利ではないというのが我が党の意思である。このたびの政治局会議において世界的な大流行感染症に対処して我が人民の生命安全を保護するための国家的対策をより徹底して立てることについての問題を最初の議題として討議し、強力に推進してきた一部政策的課題まで調整変更する革命的な措置を取った重要な理由がまさにここにある」
社説は、「共同決定書」のそのような趣旨を踏まえて、その貫徹のための重点として次の4つの柱をあげている。
第一は、「国家的な非常防疫事業を引き続き強化」していくことである。その期限は、「世界的な大流行伝染病が防疫学的に完全に統制され、これ以上伝播、拡散しなくなるまで」であり、それまでは強力な対応を続けるべきとしている。
第二は、「人民生活を安定向上させるための闘争をより力強く展開」することである。この趣旨は、当面の住民生活の安定を確保せよということのようで、「すべての部門、すべての単位において勤労者の事業と生活により大きな関心をめぐらし、彼らに実質的な支援を与えるための事業を計画し、一つ一つ効果をあげるように実行」するよう求め、「条件と環境を口実にして人民生活に無関心な現象」を戒めている。
第三は、「人民経済すべての部門、すべての単位で自力更生の革命精神をより高く発揮」することである。そのために「内部予備と潜在力をすべて探求動員し、原料と資材、設備の国産化を実現するための闘争」を呼びかけている。
最後は、「党組織の役割を最大に高める」ことである。以上のような課題への取組みを各機関・単位にある党組織が中心となって推進することを求めるものといえよう。あわせて「新型コロナウイルス感染症を防ぐための事業においていかなる特殊も許容されてはならず、すべての公民が非常防疫事業と関連した中央指揮部の指揮と統制に無条件に服従するよう教育事業を引き続き強化」することを求めている。
意地悪く解釈すると、以上のように言っておけば、従前の経済建設構想が今後実現できないことになったとしても、それは、人民の安全のためにコロナ対策を優先したため、と説明することができる。コロナ蔓延以前から実現が危うくなっていた「国家経済発展5か年戦略」なども、それを名目にして延期ないし再設定することが可能になる。逆に、そのような中で、何らかの成果が出せれば、「逆境にもかかわらず偉大な成果を上げた」と宣伝できる。
ただ、そうは言っても、死者が何万人単位で出ても、なお経済への影響を懸念する国や小出しの防疫対策や政府と自治体のつまらぬさや当てなどで蔓延をコントロールできなくなった国などを見ると、北朝鮮の対応には、独裁国家ならではの決然性・徹底性が感じられるのも、否めない事実である。