rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

6月21日 対韓関連記事まとめ

 

 標記に関しては、まず、6月20日付けの党統一戦線部代弁人の談話が掲載されている。

 同談話は、20日に韓国の統一部が北朝鮮の対南ビラ散布計画に対して「『遺憾』を表明し、即刻中断することを要求するとの立場を打ち出した」ことに対するものである。内容は、事態の責任を韓国に問い、「我々の計画を考慮したり変更したりする意思は全くない」ことを明言するだけでなく、「これからは、チリ紙になりはてた(南北)合意について南朝鮮当局は、これ以上、論ずるべきではない。すべての人民の意思により計画されている対南報復ビラ散布闘争は、いかなる合意や原則に拘束されたり考慮されたりすることもないであろうことを改めて明らかにする」として、南北合意そのものの有効性についても、否定的な姿勢をにじませるものであった。

 次に、「すべての朝鮮人民を愚弄した罪悪を絶対に容赦しないであろう  報復聖戦に奮い立った各界の反響」と題する記事が、対外文化連絡委員会部員、協同農場管理委員長、平壌市青年同盟指導員らの声を紹介している。このうち、協同農場委員長は、「現実は、北南宣言を全面破棄しても事態の責任を他人に転嫁する卑劣な手法にしがみつく、このような鉄面皮なものどもには、ただ無慈悲な膺懲だけを下さなければならないということを如実に示してくれる」などと述べている。また、「我々の懲罰」と題する記事は、「大規模的な対南ビラ散布闘争のための準備が本格的に推進されているとの胸をすっきりさせるニュースが伝えられた」ことに対する人々の反響を伝えるものであり、同散布活動について、「我が祖国の最も神聖な尊厳と権威に挑戦した人間ゴミどもとこれらの者どもの心たぎる罪行を黙認してきた者どもに対する懲罰の爆弾である」と主張している。

 更に、「破廉恥な責任回避手法は通じない」と題する情勢論解説は、「しばらく前、青瓦台安全保障会議と称するところでは、『強い遺憾』とか『事態の責任』とか穏当ならざる声が上げっており、軍部好戦狂どもは盗人たけだけしくも誰それの『挑発』とか『強力な対応』とか言って気炎を吐いた」ことを取り上げて反論する内容となっている。そこでは、「我々を実際的な対応措置に追いやったのはほかでもない南朝鮮当局である」として、事態の責任が韓国側にあることを主張するとともに、今後の対応として「相互尊重と信頼が崩れ去り、北南間に対坐すべきこともない現状態において、我々が躊躇すべきことが何であろうか」として、韓国の要求にかかわりなく独自行動を進める意向を改めて示している。

 このほか、韓国内のメディアによるものとして、「京畿道坡州地域市民団体と住民たちが反共和奥ビラ散布行為の中断を主張」「仁川地域18の市民団体が19日、『脱北者』ゴミどもの乱動を中止させることを当局に要求」「ソウル進歩連帯など170余のソウル地域市民社会団体が18日、現事態の責任は南朝鮮当局にあると主張」など韓国内の動向を伝えている。

 自らは、対南ビラ散布活動を断固として実施する意向を示しつつも、韓国内での対北ビラ散布反対活動については、前述のとおり評価は避けつつも事実報道を通じて、歓迎の意向をにじませている点が注目される。