rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年6月12日 党中央軍事委員会第8期第2回拡大会議を開催(6月13日加筆修正版)

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が11日、党本部庁舎において、金正恩の「指導」の下、開催されたことに関する記事を掲載した。

 「拡大会議」となっているのは、中央軍事委員会委員に加え、「軍種(海軍、空軍など)司令官と軍団長、人民軍党委員会執行委員(総参謀部、総政治局、人民武力部等の高位幹部で構成と思われる)、党中央委員会該当部署メンバー」が参加したためであろう。ちなみに、会議場を映した報道写真では、金正恩が一人頭部に坐した長テーブルの左右にそれぞれ11人、その後ろの壁際に各々9人、あわせて40人前後が写っている。ただし、これに加えて、写真に写っていない末席部分に若干名が座っていた可能性がある。以下13日加筆:同会議に関するテレビ報道で見ると、出席者は、テーブルに金正恩を含めて28人、後ろの壁際に約20人で合計50人前後と思われる。

 議題は、①最近情勢に即して「革命武力の戦闘力を一層高め国家防衛事業全般において新たな転換を起こすための重要な課題」、②「組織問題」であったようだ。

 同会議で、金正恩は、(おそらく①に関し)「人民軍隊事業実態に対して分析」した上で、「人民軍隊が恒久的に堅持していくべき戦略的課題と革命武力の強化発展のための方途」を示したとされる。また、「党の軍建設路線と方針を一寸もたがえることなく頑強に貫徹して行き、高度の即応状態を徹底して堅持」すべきことを強調したという。

 一方、②に関しては、「一部軍種、軍団級単位の指揮官を解任、異動し、新たに任命」したとされるが、個人名は報じられていない。

 注目されるのは、①の具体的内容であるが、金正恩が強調したとされる点から推測すると、党(中央)の領導に対する徹底的服従や訓練の実質化など、かねての方針を大きく超えるものではなく、それを改めて繰り返した可能性が高いと推測される。

 ただし、若干気になるのは、従前強調されていた軍の「経済建設」への貢献に関連する表現が見当たらないことである。平壌市内1万世帯住宅建設などに軍部隊が大量に動員されている現状を考えると、そのような表現が報道されなかったからといって、直ちに軍は本来の業務に専念して下さいということにはならないと思うが、傾向としてそういう方向性が存在するのか、長期的に見ていく必要はあると思う。

ところで、先の政治局会議で「6月上旬」招集を決めた中央委員会の全員会議はどうなっているのか、改めて北朝鮮政治の不透明さを感じずにはいられない。