rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年10月27日 社説「我が国家第一主義時代の真の愛国者になろう」(28日修正版)

 

 標記社説は、「我が国家第一主義時代」を前提に、「愛国者」としての奮起を訴えるもの。

 冒頭で、「今日、すべての人民は、我が国家第一主義時代に生きる大きな矜持と自負心にあふれ、活気に満ちた国家発展の新たな局面を開くための闘争を推し進めている」との現状認識を示した上で、「今こそ、誰もが愛国の誠実な汗により祖国の偉大な歴史を書いていこうとの決死の覚悟を抱き、より奮発し奮闘するべきときである」と主張している。また、「誰もが社会主義愛国功労者の模範に学び、家事よりも国事をより重視する観点、強国人民の滔々たる精神力を帯びた愛国者としてしっかり準備するとき、我が国家の第一の威力である政治思想的力は、何ものにも負けない絶対的力をより強化することになる」とも主張している。

 そして、そのための具体的方法論としては、①「敬愛する総秘書同志の愛国献身の歩みを心臓に深く刻み、党中央と思想と志、歩みを共にする熱血忠臣」になること、②「党決定を骨が砕けても無条件に貫徹する革命的気風を高く発揮」すること、③「前世代の闘争気風、闘争姿勢に積極的につき従う」こと、を上げている。

 更に、「幹部の核心的な役割に(各々の)単位発展と祖国の前進速度がかかっている」とも主張して、とりわけ幹部の奮起を促している。

 本社説に着目したのは、「我が国家第一主義時代」がいかなる時代として説明されているのかを知りたかったためであるが、それは、本社説では、直接言及されていない。

 しかし、前述のような論旨から推測すると、それは、「我が国の国威が大いに発揚されている時代」というよりは、むしろ、「国家を第一に考える愛国心を発揮すべき時代」という側面が強いような印象を受ける。そして、ここで、「愛国心を発揮する」ということが意味するのは、「家事よりも国事をより重視する観点」に立って、国のために「誠実な汗」を流して「献身」することであろう。

 いずれにせよ、最終的に行き着くのは、党の方針、決定をいかなる困難があっても無条件に実践せよという、いつもの退屈な主張である。ただ、それを訴える上で、ひたすら「未曽有の困難・試練」の克服を訴えるだけでは、どうしても沈滞した雰囲気になってしまうので、「我が国家第一主義時代」というタームを用いることによって、「矜持と自負心」を刺激しつつ、もう少し楽観的というか景気の良い響きを盛り込もうとしているのではないだろうか。