rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

4月29日 論説「我が国家発展の動力は党員と人民の心臓の中にある」

 

 標記論説は、まず、「国家発展の基本動力は、人民大衆の思想精神的力である」と断言する。そして、「大衆の精神力さえ噴出されれば、無から有を創造することができ、不可能も可能へと転換させることができる」と極めて精神主義一辺倒の主張を述べている。

 その上で、北朝鮮の現状については、「前進途上に直面した主客観的な挑戦と障害を受け止め突破していく重大で鍵となる時期に、我が党は党員、人民を信じ再度、困難で長久の闘争を決心した」として、非常なる苦境にあることを認め、そのような中での「思想精神的力」の発揮の重要性を訴える。

 なかでも、党員に対して、「今日の闘争において、大衆を先導していくべき人がまさに我が党員である」ことを強調し、「党員が奮発すれば大衆が立ち上がり、祖国が活力にあふれて前進する」として、奮発を呼びかけている。

 見てのとおり実に内容空疎な主張である。言葉が先行して、こういう極端な主張に走ってしまうのか、あるいは、実際に無から有を生じさせないとやっていけいないほど絶望的な状況があり、それを反映してのことなのか判然としない(個人的には、それほど絶望的ではないと思うのだが)。

 いずれにせよ、こういった議論が繰り返されているというのも、北朝鮮の一つの現実であると思うので、あえて紹介した(外に興味深い記事がなかったという事情もあってのことだが)。