rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

6月27日 論説「攻撃精神が強い人民はいつでも勝利する」(6月28日記)

 

 標記論説は、「正面突破戦、これは主動的な攻撃によって直面する難局を有利に転換させていく革命的な闘争戦略であり、前進方式である」との発想に基づき、その核となる「攻撃精神」がいかに具現されるべきかという視点で、人民のあるべき姿勢を提示したものである。

 評論がまず主張するのは、「我が人民は、不屈の攻撃精神によって首領の偉業を忠実に奉じていく決死擁衛の戦闘闘士である」ことである(ここで「・・である」というのは、「・・であれ」という意味と考えるべき)。この意味は、「決死擁衛は、党が与えた課題を忠実に奉じていく実践闘争の中で集中的に表現される」との主張で示されるように、要するに首領ないし党から与えられた目標を絶対的に実現するために、文字通り粉骨砕身、奮闘努力することである。

 次にあげられるのは、「我が人民は、旺盛な攻撃精神で富強祖国建設の活路を開いていく自力更生の第一強者である」ということである。これは、換言すれば、「自力更生だけが生きる道であり、勝利は自分の力を信じ勇敢に突進する人民にあるとの真理」を確信せよとの主張といえよう。

 最後にあげられているのは、「我が人民は、屈することのない攻撃精神によって勝利からより大きな勝利を成し遂げる粘り強い革命家である」ということである。これは、換言すると、「難関の前で屈せず、成し遂げた勝利を自慢せず新たな勝利のため継続革新、継続前進、連続攻撃すること」である。

 全体を要約すると、党が示した目標を無条件・絶対に実現するとの覚悟を持って、「富強祖国」建設に向けた「自力更生」路線を堅持し、苦境に屈せず成果を上げてもそこで満足せずに、足踏みすることなく闘争(経済建設)に邁進せよ、ということになろう。

 これがまさに北朝鮮指導部が今、人々に期待する基本的な方向性といえよう。表面的には、「攻撃精神」「主導的な攻撃」など勇ましい表現が用いられているが、内実は、従前同様、粘り強い経済建設を目指す方向性が維持されていることがうかがわれる。当然と言えば当然のことではあるが、中央軍事委員会予備会議での「戦争抑止力強化」表面などで対米圧迫の具体化も示唆されている中、それを改めて確認しておくことは、必ずしも無駄なことではないと考える。