rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

5月27日 論説「今日の正面突破戦は人民に対する滅私服務戦である」

 

 標題から、例の如く人民に対する服務を訴える内容かと思いきやさにあらず、「正面突破戦」を選択したことの正当性を主張するものである。

 正当性の第一根拠としてあげるのは、「今日の正面突破戦は、人民の運命に責任を負った我が党が展開することのできる人民愛の大進軍である」ことである。

 その意味は、「我が党がまた困難で長久の闘争を決心し正面突破戦を宣布したのは、・・・我が人民に良い暮らしをさせるためである」ということである。その結果、「すべてのことが難しい中でも人民的施策が変わりなく実施され、人民の利益と便宜が最優先、絶対視され、党事業が人民死守、人民服務を志向」しているとして、そのような選択の正当性を主張する。

 二番目の根拠とされるのは、「我が人民の幸福な将来を固く担保するための自力更生大進軍である」ことである。「我が党が自力富強、自力繁栄の旗幟を掲げたのは、決して醸成された難局を突破していくための臨時的な対応策ではない」のであって、より未来志向的・発展的な視点からの決断であるとの主張である。すなわち、「他人に命脈を掛けた下請け経済を移植し、華麗な変身を望むよりも、わが国、我が祖国の力を育て、人民の暮らしの巣を守り、子々孫々まで繁栄する天下第一強国を築こうとの我が党の愛国意志が込められた大勇断がまさに正面突破戦である」というのである。

 論説の結論は、今日の正面突破戦は、以上のように人民のためのものなのだから、「すべての幹部と党員と勤労者は、我が党の人民尊重、人民愛の崇高な志を高く奉じ、今日の正面突破戦において愛国の誠実な血と汗を惜しみなく捧げていかなければならない」となる。

 本論説は、冒頭にも記したように、「正面突破戦」を選択した「党」すなわち金正恩の選択・決断について、「人民のため」のものであると主張して、その正当性を強調するものである。そのような主張がなされる背景には、「正面突破戦」の妥当性に対する不満なり懐疑が存在するのであろうか。