rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年3月21日 社説「党幹部は党中央の志と情を徹底して具現し人民を熱烈に愛し真心を尽くして奉じよう」

 

 標記社説は、先の第2回初級党秘書大会における金正恩の指導内容を踏まえ、党幹部に対して改めてその実践を訴えるものである。

 まず、金正恩の思想について、「敬愛する総秘書同志の偉大な思索の世界は、世の中で一番良い我が人民をいかにすれば神聖に、より高く奉じるかという一念であふれている」とした上で、「(そうした)党中央の人民愛の志を奉じて人民に誠心誠意で仕える上で党中央の手足となるべき者は、ほかでもない党幹部である」として、幹部に人民への献身を求めている。

 ただし、その具体的課題として最初に掲げられているのは、「人々を立派な政治道徳的風貌を帯びた社会主義的人間として育てること」であり、「これが党中央の人民愛の志を奉じる党幹部の第一の本分である」として、「党員と勤労者の中で首領に対する絶対的な忠実性と高潔な道徳義理心を培養し革命の前世代が発揮した英雄的闘争精神をしっかりと継承していくようにすること」に努めるよう訴えている。

 また、それに次ぐ課題として、「(自分の)骨を削り肉を削いででも人民により満ち足りた文明的な生活を整えてやること」を挙げているが、実は、その背景には、「人民の肺腑に党と国家の恵沢がより多く届くようにするとき、党に対する人民の支持と信頼はより確かなものになる」との打算が存する。

 社説は、以下その実践の重要性や方法論などを縷々述べているが、いずれにせよ、「人民を愛し、奉じる」ということの実態が、実は、人民の忠誠を取り付けるということであるとの関係は、以上の引用から明白であろう。

 そのことは、本ブログの初級党秘書大会における金正恩の結論等に関する解説の中で既に指摘したところであるが、同社説において、より端的に示されていたので、改めて紹介した次第である。

 それにしても、北朝鮮における言葉の意味の逆転のすごさには、驚嘆せざるを得ない。まさに「不思議の国のアリス」の言語世界を彷彿させるものである。