rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年2月24日 社説「すべての部門、すべての単位において党中央の指示を革命の要求として奉じ徹底して貫徹しよう」

 

 標記社説は、「党中央の指示」すなわち金正恩の意向の絶対厳守を求めるものである。

 その根拠として、まず、そこには、「主客観的情勢に対する科学的な透察力と輝かしい先見の明、我が国家と人民の運命に対する無限の責任感と遠大な理想、我々式に我々の力で万難を突破して偉大な強国の未来を手繰り寄せようとの鉄石の信念と大胆な胆力、高い自信が込められている」ことをあげる。

 したがって、「党中央の指示執行において我々皆が確固として堅持すべき原則」として、「党中央が定めてくれた時間に、党中央が望む高さで」が実践しなければならないと主張する。

 そして、それを実現するためには、「党中央に対する絶対的な信頼心、党中央の思想と領導だけを奉じようとの透徹した信念を堅持しなければならない」として、「敬愛する総秘書同志に運命も未来も皆託して最後まで従おうとの純潔な心」によって、「党中央の意図と決心を無条件に受け入れ、徹底して執行していく」ことを求めている。

 同旨の主張は、その後にも、党組織に対する「すべての党員と勤労者が党中央に対する限りない有難さと信頼心、党中央だけ信じ従えば、近い将来に必ず良い暮らしができるようになるとの信念と楽観を帯びるようにしなければならない」との要求として、繰り返されている。

 要するに、同社説が求めているのは、党中央=金正恩に対する無条件の信頼。服従である。それを手を変え品を変えて、繰り返し要求しているに過ぎない。そして、それを正当化する根拠は、冒頭に述べたような金正恩に対する抽象的な礼賛の言葉と「近い将来の良い生活」の希望である。金正恩がこのところ盛んに野心的な将来構想を打ち出しているのは、まさにそうした希望を具体的に提示するためであろう。

 ただし、そうした希望が実現するかあるいは幻想に終わるかは、人民がそれを信じて、「党中央の指示」を完璧に実践執行できるか否かにかかっているということになる。仮に実現できなければ、それは、人民がそれを信じきれなったためということになる。まさに「信じる者は救われる」の世界である。

 話が横道にそれてしまったが、同社説の直接の狙いは、おそらく近日中に開催の第2回初級党秘書大会に向けたものであろう。ここでいう「すべての部門、単位」というのは、まさに、初級党が設置されている「部門、単位」という意味ではないだろうか。そうした単位ごとに党中央の指示(に基づく個別の課題)を確実に実践する態勢作りが同大会の狙いと考えられる。