rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年3月17日 ミサイル打ち上げに失敗?

 

 昨16日の韓国軍発表に基づく報道によると、北朝鮮は、同日午前9時30分ころ平壌順安付近から弾道ミサイルとみられる発射体を打ち上げたが、高度20㎞にも満たない時点で爆発した模様とのことである。

 同地からは、2月27日と3月5日にもミサイル発射が行われており、それらに関し、北朝鮮はそれぞれ翌日に「偵察衛星のための試験」として報道していたが、今次発射に関する報道はこれまでのところない。一方、米韓軍は、これら打ち上げに新型の大陸間弾道弾ミサイル火星17型が用いられたとの分析を示しており、今次発射に先立ち順安空港内に大型ミサイル発射のためとみられるコンクリートパッドの敷設が観察されていることなども勘案して、今次発射も同型ミサイルが用いられた可能性が高いと見ているようである。

 ただ、問題は、今回の発射の目的が前2回と同様、「偵察衛星のための重要試験」(つまり3回目の実験)であったのか、あるいは、それとは別のもの(例えば、衛星打ち上げの本番あるいはミサイルの飛翔能力そのものの実験)であったのかということであろう。

 飛翔体が発射初期に爆発してしまったため、それを実証的に確認するのは困難と思われるが、衛星発射を金日成誕生110周年記念日(太陽節=4月15日)と結び付けて考えるとすると、本番というのは時期尚早の感がある。他方、3回目の試験というのも、それほど必要かという疑問を禁じ得ない。そうすると、衛星搭載を視野に入れたミサイル自体の飛翔能力に焦点を当てた実験であった可能性が高いようにも思えるが、もちろん、素人の憶測の域を超えるものではない。

 いずれにせよ、北朝鮮としては、今次失敗の原因解明とその解決措置に全力を挙げ、それができ次第、改めての再発射を行うと考えられる。それにどれくらいの時間を要するのか、更に、それを踏まえての衛星打ち上げが太陽節までに可能なのか、大いに注目されるところである。