rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年3月16日 金正恩、完工間際の平壌市内住宅建設場を現地指導

 

 本日の「労働新聞」は、昨年3月に着工し、来る4月15日の金日成誕生110周年の完工を目指している平壌市内松新、松華地区の1万戸住宅建設場を現地指導したことを伝える記事を掲載した。

 例によって指導の日付は報じられず、同行者として趙勇元組織秘書、李日換秘書、呉守勇秘書が、現地で出迎えた者として金正官国防省第1副相、朴勲内閣副総理の名前が報じられている。

 金正官は、2月18日の蓮浦地区温室農場の着工式にも上将の階級章を付けて姿を現し、2月19日付け本ブログでは、軍の同地区建設部隊を統括する役職にあるのではないかとの推測を記していたが、本記事で国防相第1副相の地位にあることが確認された。その主な職責の一つがこうした建設活動なのであろう。内閣副総理よりも、国防相第1副相が序列的に先になるというのも北朝鮮ならではであろう。ちなみに、金正官は、昨年の同地区建築着工式の際には、国防相(次帥)として出席し、「建設者を代表して決意を確認」している。地位や階級は変動しても、建設関係への指導という役割は継続しているのかもしれない。

 記事によると、同地区には、「56町歩の領域に現代的で特色ある80階超高層住宅をはじめとした1万世帯の多様な超高層、高層住宅と保健、教育、便宜奉仕施設が便利に配置され、種々の休憩公園、高架橋、装飾構造物が住民地区と芸術的調和を為して特色を持って建設された」という。確かに、添付された写真には、同地区の「特色ある」街並みが写し出されている。壮観と言っても過言ではないであろう。

 金正恩は、同地区を「了解」して、「主体性と民族性、現代性を徹底して具現することについての党の建築美学思想が正確に執行されたと満足を表示」し、「すべての建設者に党と政府の委任により熱い感謝を捧げる」と述べたという。

 金正恩は、また、今後の課題として、「建築物の直感的装飾効果を政治、思想、文化的感情に合うよううまく活かし、人民性と現代性を保障する原則で、教育、保健、体育、文化厚生施設と商業、給養奉仕基地をうまく配合すること」などを訴えたという。

 こうした同地区の完工により、金正恩のビジュアルな「業績」がもう一つ加わることになる。その狙いが、同記事の末尾にあるように、「元帥様さえいらっしゃれば我々は必ず勝つ、党が決心すれば我々は無条件実行するとの不変の信念」の根拠とすることにあることは、改めて言うまでもないであろう。