rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年8月21日 金正恩平壌市内の普通江岸階段式住宅建設事業を現地指導

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩の標記現地指導に関する記事を掲載した(現地指導の日付は報じず)。

 同記事によると、金正恩は、こうした傾斜地を利用した階段式住宅が山地の多い北朝鮮の「建築発展と我が党の建設政策執行において極めて重要な意義を持つ」とした上で、「設備と資材保障を対策を適時に沿わせ、工事を日程通り推進」すること、「建設を質的に進め、都市住宅建設の見本」とすることを指示するとともに、「普通江辺の公園をよりしっかりと整備」することや「普通江の水質をより改善」することなどにも言及したという。

 また、同住宅地の行政区画名称として、「美しい珠の楼閣(階段)という意味で『景楼洞』としたら良い」とも述べたとされる(「景楼」の漢字表記は推測)。

 そして、同地区が工事開始された140余日前の姿を彷彿できないほどの「天地開闢が起きたとして大きな満足を表示し、すべての建設者の労力的偉勲を高く評価」したという。

 金正恩の同建設現場への訪問は計画段階から3回目であり、今次指導内容、とりわけ地名まで命名したことなどからも、同建設に対する思い入れの強さが改めてうかがわれる。

 なお、同記事の中で、「(金正恩を)現地において、鄭相学同志、趙勇元同志、李熙用同志をはじめとする党中央委員会幹部と建設に参加した単位の指揮官、責任幹部が出迎えた」とされていることから、政治局常務委員である趙勇元が鄭相学(政治局委員、中央検査委委員長)の後に名前を挙げられたことの背景が注目されている。

 ただし、同現地指導を報じた朝鮮中央テレビのニュースにおいては、趙勇元が金正恩に同行したとした上で、「現地において、鄭相学同志、李熙用同志をはじめとする党中央委員会幹部と建設に参加した単位の指揮官、責任幹部が出迎えた」と伝えており、また、同ニュースで紹介された指導中の写真の中でも、趙勇元は金正恩の近くに位置していることから、少なくとも趙勇元の金正恩最側近という地位に変動はないと考えられる。

 ちなみに、もう一人名前を報じられた李熙用は、中央検査委副委員長であり、同委員会が(本来の職責とは別に)同工事の推進を担当しているとも考えられる。そうであるとすると、鄭相学は、同工事を推進する責任者としての立場から、今次報道に限って、最上位に配されたのかもしれない。