rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年6月30日 咸鏡北道党委員会の活動ぶりを称揚

 

 本日の「労働新聞」は、「党が望む高さで地域発展を強力に牽引していこう 最近時期、党決定貫徹で顕著な成果を収めている咸鏡北道党委員会の事業を見て」と題し、第3面全面を費やして、同道党委員会の活動ぶりを具体的に紹介・称揚する長文の記事を掲載した。

 同記事は、まず、「しばらく前に行われた党決定執行状況に対する総括において、咸鏡北道が都市経営事業と農村住宅建設事業、育児政策と国土管理事業、教育と保健、山林復旧をはじめ現時期党において重要視する政策的課題に関しほとんどすべての条項において先頭的位置を占めた」ことを明らかにした上で、同道党委員会の活動に関し、次のような特徴を上げている。

 第一は、人民重視の姿勢である。すなわち、「党決定貫徹過程がすなわち人民のための滅私服務過程となるようにしたこと、常に人民の声に課題を求め、人民の利益と便宜を優先視し、人民のために良いことをより多く探して行うため色々と努力すること」である。その具体的な例として、「特に、清津市民の生活用水問題を解決する目標を立て、ある水源地改造拡張工事を発起」したことなどをあげている。

 第二は、実践重視の姿勢である。「いかなる困難な条件においても決心したことは無条件にやりとげる頑強な実践家、・・高い実力と眼目で党決定貫徹と地域の経済発展を主導していく威力ある牽引機」となっているという。ここで批判的に対置されるのは、上部の決定・命令を下部に伝達し、その結果を集約・報告するだけの「発信機、記録機」であり、そうではなく、「牽引機」の役割を果たしていると評価しているのである。また、そのための具体的な活動ぶりとして、「いったん組織した問題については、直接現地を訪ねてみて、必要な対策を伴わせる」ことなどをあげている。

 第三は、成果が立ち遅れた地域、部門に対する積極的支援・指導の姿勢である。すなわち、「市・郡党委員会の事業を積極的に助け、先行する単位だけでなく、立ち遅れた単位と地域に常に深い関心を持ち、押し立てるための積極的な対策を立てることによって(各)地域の同時多発的な発展を成し遂げている」という。

 同記事冒頭の「しばらく前に行われた党決定執行状況に対する総括」というのは、おそらく先般開催の党中央委員会第8期第8回全員会議のために行われたものであろう。いずれにせよ、そうした総括の結果がこうして公表されるのは、金正恩時代の「透明性」重視姿勢の反映といえよう。

 何年か前には江原道での取り組みぶり、成果が盛んに称揚されていたが、今後は、同記事を契機に「咸鏡北道に学ぶ運動」が開始されるのか、あるいは、一過的なもので終わるのか、展開が注目される。

 ちなみに、咸鏡北道党委員会の責任秘書は、김철삼(ラヂオプレス人名録によると金鉄森)という人物で、2020年8月に同道の党委員長に任命(それ以前は南浦市党委員長)されて以来、同道党委員会の責任者の地位を守ってきた。これだけ称賛されたのであるから、今後、何かの機会に更なる昇進を遂げるかもしれない。