rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年7月3日 上半年の経済計画遂行状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記に関し、「皆が党中央委員会第8期第8回全員会議決定貫徹へ! 今年の目標占領へと勇気百倍、気勢衝天して突進する 人民経済の多くの単位で上半年計画完遂」と題する記事を掲載した。

 同記事は、前段で日常的な生産における計画遂行状況について、後段で生産設備の「整備補強」への取り組みについて、産業部門ごとに主な成果を紹介する形となっている。

 このうち、前段では、まず、「慈江道供給炭鉱」が提起した増産運動(5月18日付け本ブログ参照)が「全国の耳目を引き付けた」ことを特筆した上で、それに呼応して「諸炭鉱連合企業所の数十個の掘進単位が去る5月までに上半年計画を完遂」したとしている。また、「6月創業以来の最高生産実績を記録した祥原セメント連合企業所をはじめとして・・建材工業部門の諸単位において・・上半年計画を繰り上げ達成する成果を収めた」という。このほか、「各地機械製作基地」について、「過去の時期よりより多くの重要対象設備、付属品を生産」したと報じた。

 しかし、第8回全員会議で「計画を超過遂行」と報告された金属、化学工業部門の生産状況については、金属工業部門に関しては、「1トンの鉄鋼材でもより多く生産するため奮発」、「計画遂行に尽力」、「生産的昂揚を起こした」などの表現が用いられただけであったし、化学工業部門に関しては、言及さえなかった。

 一方、後段の「整備補強」に関しては、「化学工業部門で生産工程に対する改建事業が力強く推進された」結果、「物質技術的土台がよりしっかりと備えられた」としている。また、電力工業部門に関し、「ボイラー、タービン発電機・・などの技術改造を実施し、昨年同期に比して毎日数百kwhの電力を多く生産する成果を上げた」としている。

 こうした記事内容からしても、第8回全員会議での金属、化学工業部門に関する「計画を超過遂行」の報告には改めて疑問が呈される。

一方、セメントなどの建材部門に関する報道は、従前の報道との一貫性からして、一定の信憑性が認められる。やはり、北朝鮮経済の現状は、良くも悪くも、「目玉政策」である住宅建設に引っ張られているということであろう。