rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年7月3日 本年度上半期計画遂行状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、紙面トップに「最悪の逆境を強勇に突破していく我が人民の力強い気勢 人民経済諸部門と単位で上半年計画を完遂」と題する記事を掲載した。

 同記事は、冒頭の総論部分で、「総合された資料によると、・・・金属、化学、電力、石炭、機械、建材工業をはじめとした人民経済諸部門の数多くの工場、企業所と各地地方工業工場において、上半年人民経済計画を完遂した」としている。

 しかし、それに続く各論部分では、電力工業部門について、「上半年電力生産計画を完遂した」としている以外、全体として「完遂」を明記された部門はなく、個別単位についても、「2・8ビナロン連合企業所、富嶺合金鉄工場をはじめとした化学、金属工業部門の諸単位において・・主要指標についての生産を計画通り進めた」としている以外は、計画完遂を明記された企業・工場はない。

 なお、同記事の構成は、産業部門別に計画遂行状況を紹介するいつものスタイルとは異なり、計画規律遵守、科学技術活用、内部予備の発見動員という、取り組み上の特徴別に、それに努めた単位を紹介する形となっている。上掲の「完遂」明記は、そのうちの計画規律遵守に関する部分での紹介である。他の部分では、そうした取り組みの結果について、生産を増大させたとかの表現にとどめ、計画完遂に至ったと明記した事例は見当たらない。

 こうした記事の形式自体、従前の「計画完遂・遂行」に焦点をあてるスタイルでは、余りに成果がみすぼらしいため、それを隠ぺいするための苦肉の策とも考えられる(考え過ぎかもしれないが)。

 こうして見ると、本年度の上半期経済計画の達成状況は、必ずしも芳しいものではない可能性が高いように思われる。ただし、そうした結果は、ある程度織り込み済みで、先の中央委第5回全員会議では、それを踏まえて、下半期でいかに挽回するかを討議・策定したとも考えられる。当局発表の統計を見る限り、コロナもある程度、収束の方向にあるようで、これから拍車をかけていくということであろう。