rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年6月3日 5月の人民経済計画遂行状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記に関し、「5か年計画完遂の決定的担保を構築する果敢な進軍気勢 人民経済諸部門と単位で5月計画遂行」と題する記事を掲載した。

 同記事は、冒頭で、「総合された資料によると、金属、化学、電力、石炭、機械、建材工業をはじめとした諸部門と単位において、・・・5月人民経済計画を完遂した」とした上で、各部門の取り組み状況を紹介している。

 ただし、例によって、個別部門に関する記述を見ると、「計画完遂」と明記された部門は、化学工業と建材工業の2部門にとどまる。前者は、「5月人民経済計画を指標別に完遂した」とされ、後者は、「託された生産計画を違えることなく遂行した」とされている。このほか石炭工業部門に関しては、多数の企業名を列挙した上で、「石炭生産計画を違えることなく遂行した」としている。

 一方、その他の部門に関しては、金属工業部門が「一層奮発した」、電力生産部門が「電力生産を高い水準で正常化した」、機械工業部門が「生産的昂揚を起こした」、「採掘工業、軽工業部門をはじめとする人民経済諸部門と単位」が「生産成果を拡大した」などとの表現が用いられている。

 毎月の人民経済計画遂行状況に関する報道を読むたびに、こうした「計画完遂」表現に着目する分析方法が本当に妥当であるのか、つまり、そう書かれた部門だけが計画を完遂しているとみるべきなのか、あるいは、記事で同じ表現を繰り返さないために、完遂した部門についても、その他の多様な表現を用いているだけなのか、確たる自信は持てないまま、一応、前者の立場で、こうした分析を続けている。

 いずれにせよ、建材工業部門は、一貫して順調な模様で、これが各地で重点的に展開されている住宅建設の進捗を支えているのであろう。また、化学工業部門の生産が軌道に乗ったとすれば、本日別項で紹介した田植えの前倒し完了とあわせて、今年の最重要目標である食糧増産には朗報といえる。近々に開催予定の党中央委第8回全員委会議では、そうした成果が大々的に宣揚されるのであろう。