rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年5月3日 4月人民経済計画遂行状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記に関し、「果敢な進軍気勢で拍車を加え連続攻撃、継続前進 人民経済諸部門で4月計画完遂」と題する記事を掲載した。

 同記事は、冒頭で、「人民経済諸部門と単位の幹部と労働階級が・・4月人民経済計画を完遂した」としているが、それに続く、金属、化学、発電、石炭、機械工業部門に関する部分では、それぞれの主要企業所等の様々な取り組みぶりを紹介しつつも、「計画完遂」に類する表現は使っていない。そうした表現がみられるのは、次の部分に限定されている。

  • 平壌鉄道局と价川鉄道局では、・・重要物動輸送計画を超過達成した」
  • 林業部門の多くの単位と幹部と労働階級も・・4月計画を完遂した」
  • 「祥原セメント連合企業所、順川セメント連合企業所、大安親善ガラス工場など諸生産単位では、・・託された計画遂行において模範を示した」

 こうした記事の内容から推測すると、4月に比較的順調であったのは、鉄道運輸、林業、セメントをはじめとする建材部門に限られ、金属、化学をはじめとする基幹部門は、苦戦していることがうかがえる。

 4月3日に報じられた第1・4半期(1月~3月)の経済計画遂行状況に関する記事(同日付け本ブログ参照)では、化学、発電の不調が示唆されていた一方、金属、石炭は比較的順調とみられていたので、4月に入ってそこも苦しくなったことになり、結局、年初来好調を続けているのは、林業(丸太生産)、セメントといった建材部門だけである可能性が高い。

 これは、住宅建設(及び灌漑施設整備)重視政策の反映であろうが、その陰で、基幹産業部門の「整備・補強」は足踏み状態になっていることがうかがわれる。