rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年5月2日 金予正「談話」等の「労働新聞」への掲載状況について

 

 4月30日本ブログで紹介したとおり、「労働新聞」は、金予正の「立場発表」(4月28日付け)に関する朝鮮中央の記事(29日報道)を、30日付け紙面に掲載したところ、金予正名義の「談話」に類するものの同紙掲載は、久々のことであった。

 そこで、昨年来の金予正名義の「談話」等の掲載状況を改めて確認してみると、次のとおりであった(数字は、談話発表月日、〇は掲載、×は非掲載)。

22年 4・2〇、4・4〇、8・18〇、11・22×、11・24×、12・20×

23年 1・27×、2・17×、2・20×、3・7×、4.1×、4・28〇

 要するに、昨年11月下旬から突然、一貫して掲載されないでいたところ、今次「立場発表」は例外的に掲載されたということになる(なお、21年以前は非掲載が例外的)。

 そこで指摘できるのは、掲載されなくなった時期(昨年11月下旬)が金正恩の「娘」の出現報道が始まった時期(初掲載11月19日付け)と符合することである。もちろん、そこに何らかの相関関係が存在するのか、あるいは偶然の一致であるのかは、これだけでは、なんとも断言しがたい。安易な関係付けは禁物だが、注目すべき点であることは間違いない。

 そういう点を勘案すると、今次、「立場発表」が掲載されたことについて、そこで取り扱われた主題(米韓首脳会談等の結果)に対する重視を反映したものととらえるべきなのか、あるいは、金予正個人の指導部内における位置づけ・影響力の変化を反映したものととらえるべきなのかについて、今後の推移(「娘」に関する報道状況も含め)を注視しつつ慎重に検討する必要があろう。