rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年4月30日 「労働新聞」が金予正の「立場発表」を掲載(加筆版)

 

 本日の「労働新聞」は、金予正による「朝鮮中央通信社を通じた立場発表」を伝える昨日付けの同社記事(昨日付け本ブログ参照)及び「危険千万な核戦争行脚の真相を解剖する」と題する朝鮮中央通信社論評を掲載した。

 同論評は、題名に示されているとおり、尹大統領の訪米に際しての米韓首脳会談結果などを非難したものであり、金予正の「立場」とほとんど同旨であるので、その内容紹介は省略する。ただし、論評は、金予正の「立場」では触れなかった、尹大統領が「主権国家(複数)の核心利益に関連する鋭敏な台湾問題、ウクライナ問題に分を超えて干渉した」ことに言及しているが、内容的な反論まではしていない。

 金予正名義のこうした文書(従前は「談話」)が「労働新聞」に掲載されるのは、今年に入って(おそらく昨年8月に掲載以来)初めてのことである。こうした報道ぶりは、朝鮮中央通信社論評でより詳細な批判を加えていることとも併せて、今次の尹大統領訪米をめぐる動向に対する北朝鮮の受け止めの強さを改めて示すものといえよう。

 ただし、それは、単なる反発とか警戒といったものではない。本ブログでこれまでも繰り返し指摘してきたところであるが、北朝鮮国内では、核開発路線の妥当性についての根深い疑念・懐疑が存在し、指導部は、それに対する説得に腐心していると考えられる。今次尹大統領訪米で示された米韓の動きは、まさに、そうした説得を行う上での格好の材料として認識されているのではないだろうか。そういう意味で、重大な意義を付与していると考えられるのである。

 

以下加筆部分

 前述の朝鮮中央通信社「論評」については、本日、朝鮮中央放送でも、それを伝える番組を制作・放映している。こうした報道ぶりは、特例的なものであり、米韓の「敵対的姿勢」を国内に周知しようとの狙いがそれだけ強いことを示すものといえよう。