rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年7月4日 「人民経済発展12個高地」の上半年計画達成状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、「自立の精神、自力の創造姿勢で全面的復興発展のための総進軍で収めた貴重な成果 人民経済発展12個高地占領のための闘争の中で主要部門で上半年計画超過達成」と題する「朝鮮中央通信社報道」を掲載した。

 同報道は、農業をはじめとする各産業部門ごとに個別の企業所・工場などにも言及しつつ、人民経済計画達成状況などの本年上半期の成果を報じている。

 その骨子を年初設定の「12個高地」に即して整理すると次のとおりとなる。なお、いずれの分野に関しても、実際の生産高は示されていない(本来の目標数値も未公開)。

  • 穀物:灌漑施設整備が進捗、田植えが短期間に終了、大麦・小麦栽培で良好な結果
  • 電力:101%
  • 石炭:104%
  • 圧延鋼材:112%
  • 非鉄金属:146%
  • 窒素肥料:102%
  • セメント:祥原セメント連合企業所で1日最高生産実績更新中、順川セメント連合企業所で昨年比増産(大安親善ガラス工場:100.5%)
  • 丸太:「生産計画を完遂」
  • 織物:102%(学生用服地など)
  • 水産物:102%
  • 住宅:和盛地区第1段階1万戸+2,000戸、太平地区1,400戸完成。和盛地区第2段階、西浦地区、剣徳地区など推進中
  • 鉄道貨物輸送:105%

 このほか、「12個高地」には含まれないが、機械工業部門が「上半年計画を指標別に完遂」したとしている。

 上記の報道を見る限りでは、非鉄金属を除くと、他の部門は、当初の目標を辛うじて達成できたという程度であることがうかがえる。少なくとも、経済が壊滅的な状況に陥っているわけではないとはいえよう。

 ただ、そうであるとすると、それを総括した先の第8回全員会議で金正恩が前面に立たなかったのはなぜかという疑問が改めて浮上してくる。