rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年11月6日 評論「主体朝鮮の滔々たる進軍は我が党革命路線の科学性と生活力のはっきりとした誇示である」

 

 このところ軍事関係の話題が続いたので、「口直し」に、本日の「労働新聞」1面に掲載の標記評論を紹介したい。

 同評論は、「我が党革命路線の科学性と生活力(効用の意)」を主張するもので、それを示す根拠として、次の3点をあげている。

 第1は、「人民の福利が絶え間なく増大している現実」である。そして、それをもたらしている具体的路線・政策については、「社会主義建設の全面的発展に関する思想、市・郡強化路線、新時代農村革命綱領、国家防疫能力建設に思想をはじめとして我が党が提示したすべての思想と路線、政策には人民の要求と利益が具現されている」と主張している。

 第2は、「自立、自存の旗幟の下、不断に増大する主体的力、内的動力」である。これをもたらしているのは、「自力更生の原則と自立的民族経済建設路線」である。

 第3は、「遠い将来にも我々の後代が遺憾なく享有することのできる創造物、成果物が日に日に増えていること」である。ここでは、主に青年に対する思想教養方針などが提示されている。

 評論は、これに続き、こうした「我が党革命路線の科学性と生活力」の偉大性が金正恩の指導と献身の産物にほかならないことを強調した上で、「すべての人民は、我が党の革命路線は科学であり勝利であるとの哲理を心臓ごとに刻み付け、無条件的な執行精神を高く発揮して党の思想貫徹戦、党政策擁衛戦における誇らしい成果によって、我々式社会主義の全面的発展、全面的復興を促進しなければならない」と結んでいる。

 要するに、同評論の主張は、「党の革命路線」すなわち「金正恩の方針、政策」は、様々な現実的成果によって実証された間違いないものであるので、それを信じて疑わず、命じられた課題の無条件完遂に献身せよ、ということである。

 しかし、問題は、ここで根拠として提示されている「人民の福利が絶え間なく増大している現実」などが本当に存在し、それを人民が実感できているのか、ということであろう。おそらくは、それについて、むしろ否定的・消極的な現実が存在しているように思える。党ないし金正恩に対する絶対的帰依を呼びかけるこうした評論が繰り返し掲載されること自体が、そうした実情をうかがわせているといえよう。