rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年11月6日 B-1B飛来の中、中朝国境付近でミサイル発射

 

 韓国報道によると、米国は、5日の「ビジレントストーム」訓練にグァム配備のB-1B爆撃機2機を参加させたとのことである。

 なお、同機の朝鮮半島への飛来は、北朝鮮の6回目の核実験に対応し、2017年12月に行われた米韓の大規模空軍訓練に際して以来約5年ぶりのことであるという。北朝鮮の立場からすると、そうした経緯を持つ同機の飛来は、今次「ビジレントストーム」訓練の実施とあわせて、米国側が先に「核実験実施」時と同等の緊張状態を作り出したことを意味することとなり、北朝鮮に対して核実験を促しているとも解釈できよう。ただ、北朝鮮がそうした情勢を名目として核実験に踏み切るのか、あるいは、そうした「挑発」には敢えて乗らないとの判断をするのか、大いに注目されるところである。

 一方、北朝鮮は、韓国軍の発表によると、同日午前11時32分ころから59分ころまで平安北道東林付近から西海上に短距離弾道ミサイル4発を発射したという(飛行距離130㎞、高度20㎞、速度約マッハ5。機種については未発表)。

 なお、同ミサイルの発射地点は、中国国境から約20㎞しか離れておらず、また、ミサイルの着弾地点も中国漁船が盛んに往来する海域であるとのことで(排他的経済水域に含まれるのかは不明)、中朝関係の文脈で、そうしたミサイル発射の持つ含意が注目されている。やや飛躍した考え方かもしれないが、前述のような切迫した状況を背景に、核実験に対する中国の反対姿勢に圧力を掛けようとの思惑が込められているとも考えられる。

 ただ、北朝鮮国内に目を転じると、本日の「労働新聞」を見る限り、あいかわらずこうした緊張状況に関する報道はなく、むしろ、女性用衣料の展示会の状況が大々的に報じられている。少なくとも戦争に向かう腹積もりのないことは間違いないであろう。