rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年11月3日 社説「党中央の周囲に全民が固く結集した団結の力で社会主義建設の新たな発展期を力強く切り開いていこう」

 

 標記社説は、まず、「敬愛する総秘書同志の周囲に千万が固く結集した団結の力」の重要性について、それが「革命的進軍を阻害するすべての挑戦を果敢に粉砕する百勝の武器」であり、「百折不屈の革命精神と闘争気風で絶え間なく奇跡を創造していけるようにする強力な推進力」であると主張した上で、そうした「団結の力」の強化のため次のような課題を訴えるものである。

 第一に、「一片丹心、敬愛する総秘書同志だけを信じ従う我が人民の革命的風貌をより高く発揚すること」、換言すると、「敬愛する総秘書同志に運命も未来もすべてみな託し、ひたすら党中央が指し示す道を力強く進む」ことである。

 第二に、「党中央の命令、指示に全党が、全国、全民が一体となって動く強い革命的規律を立て、無限の献身性と犠牲性を発揮し党の路線と政策を最後まで貫徹する革命的気風を高く発揮」することである。

 第三は、「新たな5か年計画遂行の初年度戦闘目標を無条件に占領」することである。「革命隊伍の一心団結の威力は党の構想と意図を決死貫徹するための闘争の成果として示されなければならない」からである。

 第四、第五は、「幹部が旗手になる」こと、「党組織の役割を決定的に高める」ことである。

 このうち、第一と第二はほとんど同義のように思える。そして、第三は、「団結」の結果であろう。第四、第五は党機関紙としてのいつもの定例的な要求である。

 結局のところ、同社説が訴えているのは、ひたすら金正恩を信じ、その指示した5か年計画初年度の課題貫徹に邁進せよということに尽きるといえる。

 そのうち後段部分は、今年も残すところ二か月を切ったこの時期、当然の訴えと言える。しかし、それであれば、もう少し具体的な方法論(例えば、残された課題の再点検など)を主張してもいいと思われるのだが、そのために、何故、金正恩への信任をこれほどまでに強調する必要があるのかということは、検討すべき課題であろう。

 想定できる一つの答えは、人々が金正恩の示す基本路線に基づき与えられた課題の妥当性・有効性などに対して疑念を抱き、そのために取り組み熱意が十分に発揮されず、結局、各分野における経済建設の成果がいまいちの水準にとどまっている(本日ブログ別項参照)との状況であろう。こうした仮説を実証的に検証することは容易でないが、そうした可能性を頭の片隅において今後の展開を見ていくことは意味のないことではないと考える。