rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年10月28日 崔善姫外相が談話を発表

 

 本日、朝鮮中央通信は、朝ロ関係に関する日米韓外相「共同声明」(10月26日付け)を批判する崔善姫外相の談話(28日付け)を報道した。その骨子は、次のとおりである。

  • 「26日、米国と日本、『大韓民国』の外交当局者らが発表した『共同声明』は・・国際法的原則に背馳(はいち)する最も政治化された文書」であり、「彼らが朝露関係を不法化することに切要な地政学的利害関係を持っている」ことを明白に示すものである。
  • 「朝露関係に対する根拠のない非難と毀損(きそん)はすなわち、国連憲章と公認された国際法に対する否定、侵害となる」
  • 「朝露関係に対する米・日・「韓」の根拠のない懸念はわれわれが解消してやるべき事案でもない」
  • 「朝露関係は第三国を狙わなかったが、もし、米・日・「韓」の執拗な不安定行為によって地域の平和と安全が危うくなるなら当然、これを牽制するための強力な戦略的安定要素として作用するようになるであろう」

 

 以上のような談話の内容は、従来からの主張の延長線上のもので、想定の範囲内とも言えるが、やや注目されるのは、①「根拠のない懸念」(※)に対し、「解消してやるべき事案でもない」として、敢えて否定しない姿勢を示していること、②朝ロ関係を日米韓の圧迫に対抗(牽制)する上での「強力な戦略的安定要素」と位置付けていること、などである。

  ※「共同声明」には、「北朝鮮からロシアへの軍事装備品と弾薬の提供を強く非難  する」などの内容が盛り込まれている。これを指したものであろう。

 このうち②には、日米韓が圧迫を強めるなら強めるほど、北朝鮮は、ロシアとの関係強化を進めることになるとの、まさに「牽制」の意味が込められているのであろう。