rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年4月21日 崔善姫外務相が「談話」発表、G7外相会談「共同声明」を非難

 

 本日、朝鮮中央通信は、G7外相が発表(4月18日)した「共同声明」を非難する崔善姫外務相の本日付け「談話」を報じた。その骨子は、つぎのとおりである。

  • 「(北朝鮮が)今まで取ってきた自衛的国防力強化措置は、米国とその同盟勢力の無分別で挑発的な軍事的行動により招来された不安定な安保環境に対処して脅威を抑制し、国家の自主権と領土完整を守護し、朝鮮半島情勢を安定的に統制管理するための正当な主権行為」であり、「(我々は)敵対的な周辺環境が根源的に終息するときまで主権国家に付与されたすべての合法的権利に立脚した行動措置を継続して取っていく」
  • 「(北朝鮮の)核保有国の地位は、・・国法により固着されたもの」であり、・・「我々に『完全で不可逆的な核放棄』を説教」することは、「最も荒唐無稽で不法無道な内政干渉行為である」。「(北朝鮮は)米国の脅威から自らを防御するためやむを得ず核を持つに至った」のであり、「米国の核脅威に対抗しうる力さえ持てば十分であり、誰かの認証も承認も追求しない」
  • 「G7が・・(北朝鮮の)自主権と根本利益を侵害しようとする何かの行動的企図を示す場合、強力な対応により徹底して許さないであろう」

 以上の「談話」内容の中で、最初の部分は、「共同声明」のミサイル発射等に対する非難に対するものであり、2番目の部分は、核放棄を求めるとともに核保有国として認めない旨を明らかにしたことに対するものであろう。いずれの部分も、従前の主張を繰り返したものであるが、国家の自主性守護のためのやむを得ない「主権」行為であることを強調しており、西欧以外の諸国に対する国際的なアピールを念頭においたものと考えられる。

 同「談話」に関し、もう一つ指摘できることは、G7外相「共同声明」が中ロ等に対して示した厳しい姿勢(むしろ、それが同声明の中心テーマであろう)に関しては、まったく言及していないことである。最近、「新冷戦」構造という枠組みに基づき、北朝鮮が中ロ両国との連携を強めていることが指摘されており、それは、ある意味で間違いないのであろうが、この「共同声明」に関しては、自分の国に関する問題にのみ反論するだけで、それを超えて、中ロに対する援護射撃のようなことは行っていないことは、北朝鮮の中ロとの関係の取り方における一つの側面を示しているといえるのではないだろうか。