rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年7月12日 崔善姫外相が談話を発表、米国のウクライナへのクラスター弾供与を非難

 

 朝鮮中央通信は、11日、崔善姫外相の同日付け談話を報道した。

 同談話は、米国がウクライナに対しクラスター弾の供与を決定したことについて、「極めて危険な選択であり、侵略と殺戮(さつりく)を国策、生存方式としている平和屠殺者としての正体を再度自らさらけ出した」と非難した上で、「委任」により「共和国政府の名でウクライナ大量破壊兵器を提供することにした米国の決定を世界を新しい惨禍の中に追い込もうとする危険極まりない犯罪行為として峻烈に糾弾し、それを直ちに撤回することを強く要求する」ものである。

 また、あわせて、「ロシアが全ての試練と難関を果敢に乗り越え、必ず最終的勝利を成し遂げるということを確信するとともに、ロシア人民の正義の偉業にいま一度固い支持と連帯を送る」などと、ロシアによるウクライナ侵攻支持の姿勢を改めて表明している。

 「クラスター弾供与」という個別的な事象に対して、敢えて外相名義の談話を発出したのは、ややバランスを欠く印象もあるが、「クラスター弾供与」が国際的に幅広い反発を招いているだけに、それに便乗して、国際的な反米機運盛り上げの契機にしようとの思惑によるものとも考えられる。

 ただ、「去る7日、米大統領が・・(この)決定を発表」したにもかかわらず、11日に至ってようやく同談話が発表されたことからは、10日、11日に繰り返された金予正の談話発表との関連を疑わざるをえない。とりわけ、同談話に「委任により」との表現が含まれていることは、2回の談話で「委任」を繰り返した金予正の談話との関連性(対抗心?)をうかがわせるものといえる。うがちすぎであろうか。