rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年3月12日 党中央軍事委員会第8期第5回会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が金正恩の「指導」の下、開催されたことを伝える記事を掲載した(会議開催日には言及なし)。その骨子は、次のとおりである。

  • 参加者:「中央軍事委員会委員達と国防省指揮官達、朝鮮人民軍各軍種、軍団指揮官達が参加し、党中央委員会該当部署幹部達が傍聴」
  • 討議内容:「社会主義建設の変革的発展のための主要戦域に人民軍を派遣・・をはじめとして人民軍隊の前に提起された重要政治軍事活動方向と対策的問題を討議」、「社会主義農村建設の中長期的な発展方向と目標・・を無条件的に徹底して執行するための方途的問題を討議事業の核心事項として提起」
  • 決定事項①:「農村振興と地方建設、社会主義大建設を加速化するための人民軍隊の活動方向と具体的な任務」及び「その執行と関連した組織機構的対策と兵力利用方案」
  • 決定事項②:「米国と南朝鮮の戦争挑発策動が刻一刻と危険界線に近づいている現情勢に対処して、国の戦争抑制力をより効果的に行使し、威力的に攻勢的に活用するための重大な実践的措置」
  • 金正恩発言:「全面的国家復興の巨大な偉業を推進していく今日の創造大戦は、・・・我が人民軍隊がより前進的でより激動的な闘争によって全社会を先導していくことを要求している」、「社会主義農村建設と経済発展の聖なる戦区において我が人民軍隊は当然、闘争の主体となり見本となって提示された段階別目標を無条件に決死貫徹(すべき)」
  • 今次会議の意義:「新時代農村革命綱領実現と社会主義建設の全面的発展のための決定的担保を準備」

  以上のような報道内容からして、今次会議の中心議題が先の党中央委第7回全員会議で決定された農業振興方針実現のため、軍を本格的に参画させること(決定事項①)にあったことは明らかであろう。

 米韓の大規模演習直前という時期柄、決定②の戦争抑止力に関する「重大な実践的措置」の中身も気になるが、①が基本であって、そこに「兵力」を動員することを決めている以上、あくまでも「戦争抑止」に向けてのものであって、それを超えることを念頭に置いたものではないと考えられる。

 細かいことだが、会議参加者として、軍事委員会副委員長(李炳哲)への言及がなく、写真にも姿が見えないようだが、欠席したのだろうか。